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2022/12/05 

学園報SEIWA 12月号を発行しました

学園報SEIWA  12月号を発行しました。

イエスにはさかなクンの青色と黄色のハコフグの被り物が似合うはず

さかなクンとの出会い

 絵の具の青色と黄色を混ぜると緑色になります。緑色は平和を表す色です。そうすると青色と黄色は平和を作り出す色と言うことができます。青色と黄色、そして平和の緑から思い浮かぶのがさかなクンです。さかなクンのトレードマークは、青色と黄色のキャップです。これはハコフグという魚をデザインしたものです。私がさかなクンを知ったのは、30年以上前のことです。その頃さかなクンは、テレビの『TVチャンピオン』という番組によく出ていました。魚や海、川の生き物についての知識を競う『魚通選手権』というコーナーで、何度も優勝していました。私は、正解を答える時の彼の豊富な知識と、彼が使う言葉のギャップに思わず笑ってしまいました。司会者とのやり取りも、さかなクンが真剣になればなるほど笑えてきました。今も変わりませんが、さかなクンの話し方や人との接し方は、他の人を幸せな気持ちにさせてくれるのです。私はいつの頃からか、こんな生き方ができたらと憧れるようになりました。

さかなクンを子ども扱いせず、大人扱いをした母親

 さかなクンはもともと絵を描くことが大好きでした。でも描くのは、街の不用品やゴミを集める収集車でした。それが妖怪になりタコになり、そして魚になっていったのです。さかなクンの絵を描く才能などをどんどん開花させていったのは、母親の存在です。母親は、ゴミ収集車ばかり描くさかなクンに、別の絵を描きなさいとは言いませんでした。逆にゴミ収集車の絵がもっと生き生きするように、収集車が何十台も並ぶセンターに連れて行ったのです。授業中に絵ばかり描いて困っているという担任の先生の言葉に、「息子も私も何も困っていませんから心配しないでください」と答えました。そして、タコが好きになったさかなクンを、毎週のように水族館に連れて行きました。また、毎晩のように魚料理を作ってくれました。ずいぶん後になってわかるのですが、母親は魚が大の苦手だったのです。だからと言って、何でも聞いてくれる甘い母親ではありませんでした。さかなクンの人格や言葉にそっと手を貸しながら、その一方、自分でしっかり考えることを求めたのです。社会人になり職場で働いてもうまくいかないさかなクンから相談を受けた時、「やりたいことがあるなら、それを自分で見つけなさい」と答えました。母親は、子どものさかなクンを子ども扱いせず大人扱いしたのです。早く大人になるように求めたのです。

大人と子どもの違いは「寛容さ」を持っているかどうか

 大人と子どもの違いは、年齢で決まるものではありません。わかりやすいのが、寛容さを持つ人になっているかいないかです。私は、自分がさかなクンに憧れた理由がわかりました。さかなクンは溢れるばかりの寛容さを持った人だったのです。「寛容」とは自分の気持ちや状況の変化に左右されることなく、物事を受けとめ解決するための、そして人間関係を壊さず作っていくための、不可欠な感覚です。自分の正しさを主張し、自分の考えや意見を相手や周囲に押し付けることからは決して生まれてこない感覚です。「寛容」はどんな場合でも、相手の存在と言葉や行動にリスペクトすることのできるセンスです。それができない人を「子どもっぽい」と呼ぶのです。

子どもは18世紀に発見された

 子どもは18世紀に発見された」と言う言葉があります。これは子どもを、それまでとは違う受け止め方をするようになったという意味です。中世ヨーロッパでは子どもはあくまで親の私有物であり、一家の労働力といった扱いを受けてきました。こうした子どもの扱いに対して、18世紀の思想家ルソーは「子どもも大人と同じように、一つの人格を持った存在である」と考えました。年齢に関係なく、子どもを人間扱いするように求めたのです。大人扱いするよう求めたのです。ルソーのこの考え方の出発点にいるのがイエスです。聖書に書かれているイエスの言葉や行動から、明らかになることがあります。それはイエスがさまざまな事情から、人間扱いされなかった人々を徹底的に受け入れ、救おうとされたことです。それは、最初のクリスマスの出来事からもわかります。イエス・キリストの誕生に立ち会ったのは、仕事の都合上律法という社会ルールが守れない羊飼いと、外国人という理由で差別された東の国の博士でした。イエスは彼らを自らの誕生の場面に招くことによって、大人扱いすると同時に一人ひとりが平和に生きるためには、寛容さを持った社会になることの必要性を示されたのです。もしも、家畜小屋の飼い葉おけの中の産着を着たイエスに、青色と黄色のハコフグの被り物を被せたなら、きっと似合うはずです。この思いつきを不謹慎と言わず、クスっと笑える寛大な社会になったら、誰もがもっと生きやすくなります。清和はこれからも「一人ひとりを大切にする」教育で「寛容さ」を持つ人を育てたいと考えています。

わたしたちの清和への熱い思い ~2022高校生徒会選挙~

 10月下旬に高校生徒会選挙がありました。生徒会選挙というと、時には積極的な立候補者がいなくて、担当教師が説得して引き受けてもらうことや、候補者が1人で信任投票になることも珍しくありません。選挙の3週間前から立候補者の名前が2階ホールに貼り出されました。会長には4人が立候補しました。同じクラスから3人出ています。他にも立候補を考えた人がいますが、人数が多いので次回にするとのことです。書記と会計の立候補者も複数います。今回の生徒会選挙に出ようと考えた人たちの中には、中学までなら、まずそうした気持ちが湧いてこなかった人も何人もいます。生徒会役員というのは、他の人たちのために自分の持っているタレント・才能を使うことです。自分が清和の生徒のために、そして社会のために、あれもしたいこれもしたいと考えたからこそ、生徒会役員になって働きたいとの気持ちになった人たちです。

生徒会選挙当日の立候補者の言葉を紹介します。

生徒会長候補

 私は一年間副会長として生徒会メンバーで活動しました。その中で、改善点や良い点を見つけ、その両方をうまく活用・改善して、清和をもっと良い学校にしたいと考えました。私が生徒会長になったら、やりたいことが2つあります。一つ目は、より工夫し、みんなが楽しめて満足できる行事を作り上げていきたいです。例えば、今年は長期間、コロナの影響でできなかった学園祭を時間が短い中でたくさんの人の協力のもと、ほぼ1から作り上げました。なので来年は、この教訓を基に、より良い学園祭又は、他の行事を作り上げたいです。2つ目は、いつか起こる地震・津波について対策する活動をしたいです。地震が起きたとき、練習以上のことは本番でできないという言葉を聞き、もっとしっかり対策する必要があると感じました。生徒会長になったら、一人一人の声を大事にし、皆が満足のできる学校生活が送れるように努力します。

会計候補

 私が今回、会計に立候補した理由は2つあります。まず1つ目は、1学期の生徒総会での生徒会の皆さんの活動の様子を見て、私も生徒会の皆さんをサポートしたいと思ったからです。2つ目は、会計の活動を活かして、社会に出てもきちんとお金の管理をできるようになりたいからです。私が会計についたら、学園祭の売り上げ費等をしっかりと管理し、皆さんの部活動や委員会をより良いものへとできるように精一杯頑張って取り組みたいと思います。 学校行事では、コロナの影響もあり、例年通りにできていないこともあると思います。そうした中でも、できる範囲の中で皆さんが楽しいと思えるような提案ができるように尽くします。 これらの事をやり遂げられるように努力して学校をまとめ、仲間と支え合いながら頑張ります。

今回の生徒会選挙で、誰が会長に選ばれ、そして書記と会計になるのかまったくわかりませんでした。けれど、確信できることもありました。それは、選ばれた人も選んでくれた人のために、自分の内側にあるタレントを引き出し使うことです。2022年度高校生徒会選挙は、清和の目指す人間教育を体現する時間となりました。

クリスマスを授業する 2022

日本でクリスマスの行事というと、クリスマスツリーを飾る、サンタクロースとトナカイの登場、プレゼントやカードの交換をする、などをすぐに思い浮かべます。でもこれらのクリスマス文化は、イエス・キリストが誕生した2000年前から始まったわけではありません。今では当たり前になっているこのような習慣は、19世紀に入って、アメリカのニューヨークから始まったと言われています。まだ200年しかたっていないのです。そして、クリスマスは行事だけをする時ではありません。

キリスト教学校の清和は毎年10月から11月に、それぞれの教科がその教科の特性を生かして、クリスマスに因んだ授業を行います。今年行われた授業のいくつかをご紹介します。

中学1年生「数学」

授業テーマ:クリスマスツリーの作成  

今後取り組んでいく単元「平面図形」の平面図形から立体物を作成する。中学3年生で学習する「相似な図形」への前段ともなる内容。

取り組み内容:相似な図形の型紙を切り取り、一人ひとつクリスマスツリーを作成する。タブレットを使い調べ学習をおこなう。・各グループが協力をして一つの作業に向かう中で、普段の数学の授業以上に協力と達成感を得られることをめざす。

高校1年生「現代国語」

授業テーマ:教科書の論説文「商品と贈り物の違い」を学習した後、 エッセイ『いちばんいいおくりもの』(筆者:時野慶子)から、 筆者の伝えようとしている「贈り物」について考える。

取り組み内容

①筆者のいう「いちばんいいおくりもの」についてまとめる。

②文章中で紹介される浜田廣介の童話『いちばんいいおくりもの』に出てくる「この よのなかで、 いちばん うれしいわらい」、「ふくろのなかの、いちばん いい おくりもの」をふまえ、「贈り物」について考える。

自分が思う「贈り物」についてエッセイを書く。

④全体で共有する。(可能な範囲で)

高校2年生「世界史B」

授業テーマ:「ヘンデルの『メサイア』と「魔法オペラ」の政治利用~啓蒙思想の拡大と魔女狩りの終焉」

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685-1759)は、ドイツで生まれイタリアで音楽家として成功した後、イギリスで長く活躍した作曲家である。清和のチャペルクリスマスでも演奏される『メサイア』が完成した1741年は、啓蒙思想の広がりと魔女狩りの減少が重なる時代に位置する。当時のイギリス政府はホイッグ党とトーリー党が対立関係にあり、「ホイッグ党の看板」といわれたヘンデルの楽曲は政治利用されていた。魔女が題材のオペラ『アルチーノ』や『メサイア』がどのような政治的意図をもって作曲されたかを考えるとともに、中世から近代への転換期である近世イギリスについての理解を深める機会としたい。

取り組み内容

1.「現在の価値観と中世ヨーロッパの価値観は同じだろうか?」との問いから始める。

2.中世は、魔法などの科学的根拠のない事象が一般的に受け入れられていた時代であったことを、魔女裁判の件数を調べる活動を通して理解する。

3.近世イギリスで活躍したヘンデルの人生を知る。(ドイツ→イタリア→イギリス)

4.ヘンデルが作曲した『アルチーノ』の魔女の描かれ方から、啓蒙思想の広がりを読みとる。

5.『メサイア』にも、ホイッグ党の意向を受けて作曲・演奏された背景があり、王権から議会へと権力の中心が転換していくイギリスの政治を考える。

6.近世の啓蒙思想がもたらした変化について考えをまとめる。

〈編集後記〉

「さかなクン」というとそのビジュアルと、すっとんきょうな声で「ぎょ、ぎょ、ぎょ」と言う独特のキャラクターでおなじみです。

最初テレビに登場し始めた時に、「なんだこの人は」と思ったことを覚えています。しかし、その豊富な魚の知識でたびたび表彰されたり、さまざまなところから「大使」に任命されたりしている有識者です。

誰一人同じ才能を持つ者はいません。家族や身近にいる人がそれに気づき、その芽をつまずに伸ばすことができれば、世間から一風変わった人だと思われても、子供は臆することなく育っていきます。そして何より、自己肯定感を持つことのできる人になり、将来を力強く歩むことができます。

「寛容さ」を持つ人を育てるには、身近なところに寛容に人を育てる人が必要です。わたしたちも、一人ひとりの生徒に応じた寛容な教育ができる人でありたいと思います。

 

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