清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2020/02/10
先日、ラジオで「切磋琢磨」という言葉の語源について話していました。
気になったので辞書で調べてみると「学問や仁徳をよりいっそう磨き上げること」「友人同士が互いに励まし合い競争し合って共に向上すること」とありました。
また、「切磋琢磨」の語源を調べてみると、一つひとつの漢字から、この言葉の持つ意味が見えてきます。
「切」は「象牙や動物の骨・角を切る」という意味です。
「磋」は「象牙など動物の角や玉を磨く」という意味。
「琢」は「玉や石を削って形を整えるという意味。
「磨」は石を磨くという意味です。
置物、装飾品を作る際に、象牙や動物の角、玉などを、のみや彫刻刀で丁寧に削り、丹念に研磨することで輝きが増していきます。
これが「切磋琢磨」の語源となり、ここから、互いに励まし合い競い合って共に向上する、という「切磋琢磨」の意味が出来たと考えられます。
それぞれ同じ素材であっても、大きさや硬さは違う1つ1つをその職人は、その素材の特徴を見極め、素材に適した切り方、削り方、磨き方をしています。
基本的な作業工程は決まっていても、実際の作業の中では、職人の微妙な感覚を基に、調整しながら行われていくのです。
互いに励まし合い競い合って共に向上するという「切磋琢磨」という言葉。
この言葉には、全て同じ方法で、同じ形に整えていくわけではなく、その大きさや硬さに応じて、その物の良さを引き出していくという意味もあるように感じます。
私たちも、毎日の学校生活で「切磋琢磨」されていますが、それは全て一律に、同じ大きさ・形・色を目指しているわけではなく、様々な形や色を生み出しているのではないでしょうか。
なぜなら、私たちは一人ひとり、違う個性を持っているからです。
その違う個性を持っている者同士が、励まし、競い合い、磨きあっているのだと思います。
時にぶつかり合うこともあるかもしれませんが、そのことでいつの間にか角が取れ、丸みを帯びることもあるでしょう。
そのように、私たちは気づかないうちに「切磋琢磨」され、「私らしさ」が作られていっているのでしょう。
歩く速さ、目指す方向、それぞれの抱える課題は一人ひとり違います。
切磋琢磨する中で、自分らしい歩き方と歩く速さを見つけ、周りの人の歩き方と歩く速さを受け止めていきたいと思います。
それが、自分を大切にし、周りの人をも大切にすることにつながると思います。