礼拝の話

2021/10/18 

10月18日(月)聖書マタイによる福音書 5章27~28節 校長 小西二巳夫

2階ホールの本棚に池澤夏樹さんが選んだ日本文学全集、世界文学全集があります。

水俣病に苦しむ人々を描いた、石牟礼道子さんの「苦海浄土」という作品もあります。

「苦海浄土」がある文学賞に選ばれたとき、石牟礼さんは「この本の本当の書き手は水俣病の被害者たちであって、自分はその人たちの言葉にならない言葉を日本語にしただけ」とこの賞を辞退され、池澤さんはその思いを受けとめ、苦海浄土を世界文学全集に入れたのでしょう。

今日の聖書の小見出しは「姦淫してはならない」です。

旧約聖書の出エジプト記20章に十戒が書かれています。

生活する上でのルールが神から与えられた箇所です。

エジプトの奴隷生活から逃げ出した人々が、厳しい環境で生き抜くには仲間同士、互いを大切にすることが必要でした。

神からの命令だとしたら、逆らうわけにはいきません。

十戒の「姦淫してはならない」で何を守ろうしているかというと、それは男性側のプライドや名誉、社会的な権利、地位です。

あくまでも男性の権利や名誉を守るのであって、女性の立場を守るという視点は全くありませんでした。

当時はそれが当たり前の社会だったのです。

その社会に対して、イエスは「不倫をしたい」を心の中で思ったら、それだけで十戒に違反したことになる、罰せられると言ったのです。

それがこの十戒の本来の意味だと言ったのです。

これは当時の社会が考えていたより厳しい解釈ですので、誰も反対できません。

イエスがすごいのはここです。

たった一言で、ルールをもっとしっかり守りましょうと言いながら、実はそれまで無視されてきた女性の存在を尊重することを認めさせようとしたのです。

そこにいる人々に対して、女性が持たされてきた理不尽な痛みや悲しみに目を向けざるを得なくさせたのです。

イエスは十戒の「姦淫してはならない」を女性の存在と人権を守る言葉に翻訳したのです。

女性の悲しみや痛みが、社会を本来あるべきものに変える力があると考えたのです。

イエスは歴史上最高の翻訳家といえます。

イエスの言葉には人を救う力があります。

それでは、イエスの言葉に守られて、新しい1週間を過ごしていきましょう。

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