礼拝の話

2020/10/01 

10月1日(木)聖書 ローマの信徒への手紙 8章28節 国語科 古口

『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』という映画を牧野植物園で催された「お山でシネマ」という野外上映会で見ました。

アメリカのある夫妻が、究極のオーガニック農場を作り上げるまでの8年間を追ったドキュメンタリー映画です。

ジョンとモリーの夫妻は、殺処分寸前だった犬トッドを引き取って都会のアパートで暮らしていましたが、鳴き声が原因でアパートを追い出されてしまいます。

そこで、彼らはトッドを自然の中でのびのび育てるために郊外に移住することにします。

モリーは、以前から「食の質は農作物にある」と考えていたので、本当に体によい食べ物を育てるために、夫妻は移住先で農場を立ち上げることに決めました。

2人は東京ドーム17個分にもなる広大な土地を手に入れ、土地を耕し、土壌を作り直し、様々な植物をバランスよく植え、そこで豚・羊・鶏・鴨などの動物を飼育し、農地を最初から作り直したのです。

途方もない農園づくりは困難の連続で、次々と新しい問題が発生し、そのたびに大変な苦労をするのですが、いつも予想を超える方法で解決されていきます。

雑草を食べてくれる羊、糞は肥料になって土地を肥やしてくれます。

鴨がカタツムリを食べて駆除してくれます。

土を掘り返すホリネズミが増えすぎたときには、野生のメンフクロウが来てそれを捕まえます。

作物が豊かに実るとかならず害虫がやってきますが、すぐに駆除しないで観察していると、必ず天敵がやってきてくれて、全滅はしないまでも「共存レベル」に落ち着くのです。

農場では長い歳月をかけていろいろなことがかみ合うようになっていき、様々な生き物がいるという「多様化」によって、農場の中で大きな生命のサイクルが出来上がっていきました。

一番心に残ったのは、映画の最後のナレーションの言葉です。

「自然と調和しようとしてきたが、ここまで来られたのは心地よい不調和のおかげだ。」

現代を生きる私たちは、成果がすぐ出ること、効率が良いこと、計画通りに物事が進むこと、整っていることを良しとしています。

その結果、時間がかかることやうまくいかないことがあると不安になり、間違いだと決めつけがちです。

ズレがあると、きれいに整えようとしますが、完璧に整えられた世界はかえって不自然です。

多少のズレがあるからこそ分かることがあり、学べることがあり、世界が豊かになっていくのだと感じました。

そして、映画を観終わって思ったことは、「清和と一緒だ」ということでした。

この農場の特徴を清和の学校生活にあてはめると、次のように言い換えられるのではないでしょうか。

・個性をもった一人ひとりが互いに影響しあって、多様性の中で共存している

・生徒・教職員の中に必要のない人は一人もおらず、どの人にも存在する意味がある

・その時には理解できず問題だと思うようなことも、あとで分かって納得でき、すべてが益になる

(つまり意味や価値があるものにされる)

・だから、問題が起きた時にはまず礼拝で心を静め、自分と向き合う

・時間はかかるけれど、答えは人との関わりの中、自分自身の中、聖書の言葉の中にある

一人ひとりが違っていて当たり前、問題が起きて当たり前、理解できないことがあって当たり前です。

それでも誰一人排除せず、受けとめ合っていく中で、時間をかけてその意味や価値が分かるようになります。

そのようにすべてを益にしてくれる神さまがともにいてくださると信じるのが清和の学校生活だと思います。

もし今、あなたの周りに良いと思えないような不調和を感じるもの、整っていないと感じることがあるならば、それはあなたを成長させるものなのかもしれません。

どうして?なんで?と理解できないような出来事、どうしても苦手なあの人、理不尽な言葉、報われない努力もあるでしょう。

そんな不調和にも意味があり、いつか「そのおかげで」と言える日が来るのかもしれません。

不調和があるのは、私たちが多様であって、かつ、一人ではないからです。

そんな心地よい不調和を大切に感じながら、今日の一日も過ごしていきたいと思います。

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