清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2021/10/13
『ぼく、モグラ、キツネ、馬』という絵本を読みました。
話に登場するのは、「ぼく」「モグラ」「キツネ」「馬」です。
「ぼく」とモグラとキツネは、このちょっとした冒険の旅の中で、様々な会話を続けます。
「弱さや」や「強さ」、「孤独」や「仲間」、「夢」や「勇気」についてなどを、お互いに「ぼくはこう思うけどなぁ」と語りながら旅を続けるのです。
森の中で、最後に「ぼく」とモグラ、キツネの前に現れたのが、大きくて穏やかな性格の馬です。
馬は、みんなの話しを聞きながら、それぞれの話しを否定することなく「それでいいんだよ」と優しく諭していきます。
この絵本にはいくつも印象に残る会話がありますが、特に印象に残る会話が2つあります。
1つは「ぼく」がモグラに「一番の時間の無駄って何だと思う?」と尋ねた時、モグラが「自分を誰かと比べることだね」と答えた場面。
もう1つは「ぼく」が川に浮かぶ白鳥の群れを見ながら「どうしてあの鳥たちは完璧にそろって見えるの」と尋ねた時、馬が「水の中で必死に足をばたつかせているからさ」と答えると、モグラも「一番の思い違いは完璧じゃないといけないと思うことさ」と答えた場面です。
いつも誰かと比較し、自分の方ができていると感じることができれば優越感に浸り、逆に自分の方ができていないと分かると卑屈になり、自分のせいではない、と誰かに責任を擦り付けてしまったりすることはよくあります。
今の自分に満足できない、という思いは私の中にもよくあります。
自分のことが好きになれず、誰かと比較して劣等感をおぼえてしまうことも多々あります。
そんな時、今の自分の姿を「こうだよ」と教えてくれる人が一人でもいると、「そうか、決して悪いことばかりではないな」と思えることがあります。
「こうした方がいいよ」と教えてくれる人が一人でもいると、「そうか、じゃあそうしてみよう」と、自分の行動を見つめるきっかけにもなることもあります。
今日、紹介した絵本の「ぼく」は、モグラ、キツネ、馬との会話を通じて、決して強くなくても、特別なことができなくても、自分はありのままで良いということに気づきました。
今日の聖書箇所は、体の中で「ここは必要ない」と言えるものはない、と記しています。
加えて、見劣りのするところを、いっそう引き立たせることで、体に分裂が起こらず、各部分が互いに配慮し合っている、と今日の聖書はいいます。
体の中に弱い所があるからこそ、本当に大切なことが分かるというは、単に自分自身の体だけでなく、私たちの人間関係においても同じなのだろうと思います。
自分の失敗や弱さを素直に認めることは、とても難しいことです。
自分では比べるつもりがなくても、どうしても誰かと自分を比べてしまい、ダメな所にばかり目が向いてしまうこともよくあります。
今は、そのような弱い部分を受けとめることが難しくても、日々の生活の中で、様々な人と関わる中で、まずは自分自身をしっかり見つめることができればと思います。
そして、お互いの良さに気付き、同時に自分の良い所にも気付くことができればと思います。