清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2020/10/14
先日、ミヒャエル・エンデの「モモ」を読みました。
「モモ」は1973年、今からもう50年近く前に書かれた児童文学作品です。
本の最初には、「モモ」時間泥棒と盗まれた時間を人間に取り返してくれた女の子の不思議な物語、とありました。
読み進めると50年前に書かれたとは思えないほど現在に通じるものを感じられる作品です。
私たちは新型の感染症の問題で、さまざまな変化を毎日体験しながら過ごしています。
その1つにリモートワークやテレワーク、遠隔授業などが挙げられます。
今までは遠くに出張していたものが、移動をせずに会議や講習を聴くことができるようになりました。
では、その短縮できた時間はどこに行ったのか、というと、また次の会議、次の作業へと当てられ、ある意味便利になった中で、ゆとりが生まれたのか、というとそうではない現実もあるように思います。
大学での遠隔授業も同様のようです。
今までは講義を聞いて、必要な試験を受ける、レポートを作成するなどでしたが、遠隔授業、ネット講義で本当に学生が学んでいるかを確認するために、今まで以上のレポートが課題として出されていると聞きます。
周りに一緒に学ぶ仲間がいて学ぶことができるのと、一人で授業を聞いてレポートを作るのでは、学習に対する気持ち、意欲が違う、とある学生さんが言っていました。
このような話を聞くと、私たちは、便利さを自分の時間と引き換えに得ているのかもしれないと感じさせられます。
感染症への対策は今後も必要とされることですが、何が必要な時間で、何が少し省いてもよい時間か、ということはしっかりと考えなければならないのだと思います。
「そんなことは無駄だ」と思えることを過ごして、自分の中に貯められることはいろいろあります。
たとえば、この礼拝の時間です。
試験前の忙しい時に、なんでこんな話を聞かないといけないんだと思う人もいるかもしれません。
こんな勉強してもどうせ将来役に立つかもわからないし、と思うこともあるかもしれません。
でも、すぐに役に立つものは、新しい何かが生まれればすぐに役に立たないものになるのが世の常です。
「本当に大切なものは、目には見えない」というある本の言葉がありますが、この礼拝の時間を通して、みなさんは話を聞く力、いろいろなことを考える力、自分の考えがどうあるかを見つめ直す力を身につけていきます。
今日1日を始めるにあたり、今日をどう過ごすか、この時間をどう過ごしていくかは私たち一人ひとりに問われています。
まずは今日の試験にしっかりと取り組み、今日という1日を歩みましょう。