礼拝の話

2020/11/30 

11月27日(金)聖書 テサロニケの信徒への手紙Ⅰ 5章16~18節 数学科 柳井

様々な人種が共存し、溶け合っているアメリカのような社会を昔は「人種のるつぼ」と呼びました。

「るつぼ」とは、金属を溶かすときに使われる容器のことです。

人種や文化が溶け合って、一つの文化を形成している様子を「人種のるつぼ」と呼んだのです。

ところが、民族の完全な融合はそう簡単に起きません。

外国で暮らす移民たちは、民族ごとに集まって同じ地区で暮らすことが多く、故郷を遠く離れた土地にあって、不便なことが多くても同じ地域の出身者同士で助け合う人々の営みが見られます。

同じ民族同士が助け合うことはマイノリティーとしての民族が生きていく上でとても重要なことです。

最近では、様々な人種の人が独自の文化を保ち、お互いを尊重しながら共生していてその様子が、トマトやキュウリ、レタスといった野菜たちがそれぞれの個性を失うことなく混ざり合ってできているサラダのようであることから「人種のるつぼ」から「人種のサラダボウル」と呼ばれるようになりました。

これらの言葉は、社会の授業や教科書の中で見たことがある言葉かもしれません。

私は公立の中学校・高校出身なので、私立の中高である清和と他の学校との違いをよく感じます。

清和には、良い意味で色んな人がいるように思います。

活発な人、落ち着いている人、1人でいるのが好きな人、休み時間に元気に走り回っている人、読書やイラストの作成に集中したい人、熱心に勉強に打ち込む人、静かに過ごしたい人などなど。

たいていの学校、特に高校には、求める生徒像というものがあります。

“高い志しをもち、文武両道、学力向上に努め、学校生活をより充実させようとする意欲をもつ者”

だいたいがこんな感じですが、なんだか、一括りになっている気がします。

それに対して、清和が求める生徒像はこれと言って決まっていません。

決まっていませんというと誤解が生まれますね。

入学してきた一人ひとりが、清和が求める生徒像です。

勉強が分からなくても、学校生活が不安でも、苦手なことがあっても、それを得意なことや努力で補いつつ、少しずつ成長していく、存在そのものが大切なのです。

だからこそ、いろんな個性や趣味、特技をもった人がここにいるのでしょう。

私が小・中学生の頃、よくこんな言葉を耳にしました。

「いつも笑顔でいなさい。」「笑顔でいればいいことがあるよ。」「笑う門には福來るって言うでしょう。」「笑顔でいれば、苦しいことも乗り越えられるよ。」

まるで、笑顔で明るい子供が正義みたいな風潮がありました。

色んな人がいていい「人種のサラダボウル」とは真逆の考え方です。

笑顔は確かに大切ですが、一括りに笑顔でいなさいと強制されると…。

なぜだか世間では、辛い人や苦しい人に「笑顔でいることが大切」とアドバイスすることが他人のことを思いやった優しい言葉なのだと解釈されがちです。

今日の聖書箇所の「いつも喜んでいなさい」は「いつも笑顔でいなさい」に似たものがあるように感じます。

「いつも喜んでいなさい」なかなか難しそうなことですが本当に神さまはこんなことを私たちに望んでいるのでしょうか。

聖書を読んで、考えてみると、次のようなことが自分なりに分かってきました。

「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです。」

この一文はパウロという人物がテサロニケ人に向けて書いた手紙の一文です。

本当に伝えたかったこと、神様が望んでいることは何だろうと思ってヒントを探していると、こんな聖書箇所がありました。

「笑っていても心の痛むことがあり喜びが悲しみに終わることもある」

これは、笑顔でいても、その裏には傷ついた心があるかもしれないし、喜びが終われば、その先に悲しみが待っていることもあるということだと思います。

神さまは、辛い状況にある人のことも、しっかり理解してくれているのではないでしょうか。

だから、「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。」というのは「いつも喜んでいられるように、祈りましょう」ということではないでしょうか。

私たちは、毎日何かしらの不安やイライラ、悲しみに駆られる生き物です。

泣きたいときは泣いたり、たまに怒ったりしてみてもいいでしょう。

神さまに向かって、不満や愚痴をこぼしてみるのもいいでしょう。

きっと、それも受け止めてくれるはずです。

私たちが、私たちの存在を大切にできるように、いつも喜んでいられるように祈りましょう。

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