礼拝の話

2021/11/04 

11月4日(木)聖書 ローマの信徒への手紙 12章12節 社会科 山脇

この時期になると、県内各地で柚子の収穫が本格的に始まります。

柚子の木には大きく2つの種類があります。

苗木から育てた柚子の木と実生と呼ばれる種から育てた柚子の木です。

柚子の木といっても、苗木と実生とでその育ち方、育て方、収穫の仕方、収穫した実の使い方には違いがあります。

苗木の木は実がなるまでは早く、木の高さも人の手が届く範囲ですから収穫もしやすいのですが、病気や害虫を防ぐために消毒や剪定を行う必要があり、肥料や農薬も使用するので、とても手間がかかります。

一方、実生の木は育てるのに農薬や剪定の必要がありませんが、とにかく実が育つまで長い時間待たなければならず、実がついても収穫するのが大変です。

手入れがいらず、育てやすくてすぐに成長して実をつけ、高さも程よく棘もない柚子の木があれば、どんなに便利なことかと思うのですが、そんなに都合の良いことはありません。

何より、天候に左右されるのが作物の栽培ですから、どんなに品種改良をしても、どんなに肥料や農薬を使っても、天候次第で上手く育たないことはあります。

「こんなに世話をしたのに」「こんなに栄養を与えたのに」、よりによって天候が悪すぎて実がつかず不作に終わってしまった、という年も当然あるのです。

ですから、柚子を育てている農家さんは、それが苗木の木であれ実生の木であれ、出来るだけの世話をして柚子の成長を見守り、最後は良い天候が与えられることを祈っているのだと思います。

そして秋に黄色い実が沢山なることを願いながら、収穫の時を待っているのです。

柚子の栽培と同じように、私たちの日常生活の中では、どんなに万全の準備をしても、それが必ずしも良い結果につながるとはいえません。

自分の立てた計画通りに全てが上手くいけば、自分の思い通りになれば、これほど良いことはありませんが、当然そんなに都合の良いことはなく、思い通りにいかないこと、失敗することは多いですし、その度に諦めたくなることも沢山あるのが私たちの日常生活かもしれません。

今日の聖書箇所には、希望を持って喜ぶこと、苦難を耐え忍ぶこと、たゆまず祈ることの大切さを私たちに教えてくれています。

このローマの信徒への手紙を書いたパウロは、これらのことが口で言うほど簡単ではない、実際に行うことは難しいということを分かっていたと思います。

それでもなお、希望を捨てずに、苦しみから目を背けずに、祈ることの大切さをローマの信徒に伝えたかったのです。

それは、パウロ自身がキリストを迫害する立場から、キリストを伝える立場に変えられたという、自身の経験があるからだと思うのです。

自分一人の力ではどうしようもないことでも、周りの人の支えによって、何より神を信じることで、希望を持ち、苦しみに耐え、祈ることができるということを経験したからです。

柚子を育てる農家さんは、今年の収穫をどのような気持ちで迎えたでしょうか。

夏の暑さや、長く続いた豪雨、台風の接近など、急激な天候の変化に不安を抱えながらも、柚子の世話を怠らず、いよいよ収穫の時を迎えました。

きっと今日も、黄色くなった実を笑顔で収穫しているのではないかと思います。

失敗したらどうしよう、間違っていたらどうしよう、という不安は私にもありますし、実際に上手くいかないことも多くあります。

それでも聖書は、希望を持って歩みなさいと私たちを励ましてくれています。

苦しい時にも「一人ではないから大丈夫」と力強く語ってくれます。

悩みながら、迷いながらの私たちの毎日ですが、それでも今できることは何かを考え、私たちの歩みを支えてくれる神に祈りながら日々の生活を大切にしていきたいと思います。

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