礼拝の話

2020/12/11 

12月11日(金)聖書 箴言 1章5節 国語科 田野

平安時代の随筆『枕草子』に、次のような内容の話があります。

昔いらっしゃった帝は、ただ若い人だけを大切にされていました。

そして四十歳になった人を殺してしまうようになった。

だから、年を取った人は遠い地方の国に逃げてしまいました。

やがて都の中に年を取った者は一人もいなくなってしまいました。

中将で、賢い頭を持っていた人に、七十歳に近い両親がいました。

四十歳でさえ危険なのに、まして老人になれば何をされるかと恐れていました。

中将はとても親孝行な人でした。

密かに家の中の土を掘って、その中に小屋を建てて、両親を隠して住ませました。

世間にも帝にも、両親はどこかに消えて姿を隠してしまったことにしました。

中将の両親は頭がとても賢くて、何でも物事をよく知っていました。

中将も「若いが、賢い」と評判が良かったので、帝からとても大切にされていました。

ある時、中国の帝が、日本の帝を騙して、国を征服しようと考えていました。

そして、いつも日本の帝の知恵を試そうと論争を仕掛けてきていました。

そこで出される難題の答えがまったく分からないので、帝は思い迷っておられました。

中将は帝のことをお気の毒に思って、親の所に行って、事情を説明しました。

中将の親は、中将に難題の解決方法を教えてくれます。

中将は、親から聞いた内容を、帝に伝え、難題を解決していきます。

帝は中将を、とても重要な人物だとお思いになられました。

「何か望むものはあるか。」と、帝はおっしゃられました。

中将は答えます。

「これ以上の位は頂きたくありません。ただ、老いた父母が身を隠しておりますので、そこを訪ねて、都に住むことをお許し下さいませ。」

帝は、「とても簡単なことだ。」と言って、お許しになられました。

世間の人の親は、これを聞いて喜んだということです。

親の素晴らしい知恵を、子どもが受け取り、その知恵によって幸福を得る。

旧約聖書の箴言は、「イスラエルの王、ダビデの子、ソロモン」が「わが子」に向かって、知恵を授けるという形で、進んでいきます。

ここにはたくさんの知恵が隠されています。

みなさんそれぞれの心にとまる言葉が見つかると思います。

私の場合は、言葉に関するものが、目につきやすいように感じます。

例えば、箴言15章1節「柔らかな応答は憤りを静め 傷つける言葉は怒りをあおる」。

生活の中で自分を守ってくれる言葉を持つことは、とても大切なことだと思います。

現在、新型コロナウィルスの感染者が、高知県内でも増加してきています。

一昨日には、県独自の対応レベルが「特別警戒」に引き上げられました。

この困難を乗り越えるにはどうしたらよいでしょうか。

そこには、それぞれの人がこれまでに培ってきた知恵が必要です。

そして過去から積み重ねられた知恵をどれだけ受け取れたかも大切です。

私たち一人ひとりの知恵を合わせ、この状況を乗り切っていきましょう。

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