礼拝の話

2020/12/14 

12月14日(月)聖書 ルカによる福音書 10章25~27節 校長 小西二巳夫

プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」にCMなどでよく使われる「私のお父さん」があります。

父ジャンニ・スキッキに娘のラウレッタが「私の愛するお父さん、愛する人はとても素敵な人です。指輪を買いにポルタロッサに行きたいのです。それができないならば私はヴェッキ橋から身を投げて死にます。だからお父さん、お願いです。」と歌います。

曲の感じと歌詞の内容から若い女性の切なさが伝わってきますが、これは悲しい話ではありません。

ラウレッタの恋の相手は大金持ちの息子でした。

しかし、遺産はすべて修道院へ寄付すると遺書を残し父親が急に亡くなりました。

この遺産を手にするための悪事や駆け引きが展開されます。

観ていておもしろい話、喜劇なのです。

物事は何かを知ることによって、それまでとはまったく違った受けとめ方をするようになります。

代表的な話がイエス・キリストの誕生です。

天使が結婚前のマリアに神の子を宿すことになると告げます。

ヨセフの妻として夫を支え、子どもを育て、家を守ることがマリアの夢でした。

マリアにとってこの天使の言葉は、自分の思い描く小さな幸せを壊すものでした。

ルカによる福音書には、沈黙の中で深く考えたマリアが「お言葉通り、この身になりますように」との言葉で、すべてを受け入れたことが書かれています。

悲劇としか思えないことをマリアは何によって違う受けとめ方をするようになったのかということです。

マリアはこの出来事を、生まれてくる相手の立場で考えたのです。

英語の文法では1人称、2人称、3人称を習います。

人称を考える時、どの人称を中心に考えるかです。

たいていは1人称の“I・私”です。

私がいて、あなたが、そして彼・彼女がいるとなります。

しかし、自分を第一にすることが必ずしもよいとは限りません。

自分を第一にすると、相手や周囲と利害関係が生まれます。

自分が得するか損するか、そのことで相手と争うことが当たり前になります。

それによって傷つくのは相手より自分という場合も多いのです。

自分を第一に考えると、周りがすべて敵のように思えることも起こります。

そこで、マリアは自分を中心にではなく、生まれてくる相手を中心に考えたのです。

“YOU”を優先することにしたのです。

2人称のYOUを中心にするとは、共に生きるということです。

生まれてくる相手と共に生きていくことです。

2人称を中心にすることで、お互いの関係が変わり、周囲も変化します。

そこに誰もが喜びをもって生きることのできる世界が生まれます。

それを神自らが教えてくれるのが、イエス・キリストの誕生、クリスマスの出来事です。

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