礼拝の話

2022/12/12 

12月5日(月) 聖書 エフェソの信徒への手紙 1章15~18節 校長 小西二巳夫

室戸に向かう途中にゆず栽培で知られている北川村があります。

さらに北川村を有名にしているのが「モネの庭」です。

モネというのはフランスの画家クロード・モネのことです。

自然を愛したモネは自分の理想の庭をフランスのパリ郊外の村に造り、その庭を中心に風景や人物の絵をたくさん描きました。

モネという画家は印象派に属していました。

印象派の特徴は、その人がその時、自分の目で見た風景や人物がどう見えたのか、どう感じたのか、それをそのまま描くことにありました。

モネの作品「氷塊」はパリの中を流れるセーヌ川が厳しい寒さのために凍り、その氷が太陽の光を浴びて溶け始める様子を見て、その瞬間を描いたわけです。

この絵を見ていると、氷が割れる時に出す音や、氷の塊が流れ出すのを想像してしまいます。

絵は別に静止したままですが、絵の中で何か動いているように感じるのです。

日本の伝統的な絵画に浮世絵、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」は見上げるような大波が2艘の船に覆いかぶさる様子が描かれています。

2艘の舟は波にのまれてひっくり返るのだろうか、それとも無事に進んでいけるのか、ハラハラドキドキした気分になります。

神奈川沖浪裏はそういう瞬間を切り取るように描かれているのです

こういう描き方を、見切りの構図と呼びます。

日本の見切りの構図の絵画にショックを受けたのが印象派の画家たちでした。

見切りの構図で描かれた絵画を見ていると、次の瞬間をついつい想像してしまいます。

言い方を変えると、見る人の想像力を引き出す力が見切りの構図にはあるのです。

想像力、これは人間だけが持っていると考えられる能力です。

現実の世界にとって、今一番問題になっているのが想像力の欠如です。

ロシアのウクライナへの侵略戦争や、中東アジアの紛争をはじめとして、あちこちの地域で人の命が簡単に奪われ、家族が奪われ、社会が壊れていっています。

軍事力で相手を攻撃すれば、そこに大きな悲しみや痛みを作りだし、取り除くことのできない憎しみを生み出していくのは、人間の歴史が明らかにしています。

想像力が弱くなると、自分は正しく、間違っているのは相手だと思い込み、攻撃的になります。

想像力が衰えてくると、平和が壊され戦争になっていくのです

想像力を失った人間がそれを回復させるための方法がいくつかあります。

中でも一番効果的なのが物語を聞くことだと言われています。

言い方を変えると、しっかり学ぶことです。

学校で必ず学ぶのが、日本の歴史と世界の歴史という過去の出来事です。

小学校、中学校、そして高校では歴史を繰り返し、繰り返し学びます。

歴史を物語として学ぶことによって想像力を育てているのです。

私たちは歴史をはじめとしてたくさんの学びを通して、想像力が弱くなると平和が壊され戦争になることを毎日学んでいるのです。

想像力を持たないこと、それは聖書的に言うと、神を裏切ることです。

聖書の初め、創世記に人は神によって作られたと書かれています。

と言うことは、人間の持つ能力である想像力はまさに神から与えられたものです。

それを忘れしっかり使わないこと、育てないことは、神を裏切ることになります。

神を裏切るようになっては、幸せな人生を過ごせるはずがありません。

平和な世の中になっていくはずはないのです。

現実社会に平和を取り戻すために、そして神を裏切らないために、想像力を取り戻す機会として与えられたのがクリスマスです。

イエス・キリストの誕生のいきさつ、それをクリスマス物語と呼んでいます。

平和の主としてやって来られたイエス・キリストの誕生のいきさつをたどることによって、私たちは平和な世界にするためには何をすればいいのかという想像力を育てるトレーニングの機会を与えてもらっているのです。

自分がこの世界を戦争ではなく平和にするための一員であるとの自覚を持った人になるために、クリスマスの物語と2学期の学びの確認である期末試験にしっかり取り組みたいものです。

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