礼拝の話

2023/04/14 

4月10日(月)始業礼拝 聖書 ヨハネによる福音書 8章1~8節 校長 小西二巳夫

1968年に連載が始まり、今でも続いている漫画に「ゴルゴ13」というものがあります。

単行本208巻が出されていて、単行本としては世界一でギネスに登録されています

ゴルゴ13は抜群の体力と素晴らしい能力と判断力を持ち、依頼を受けた仕事600件以上をすべて完璧にこなしてきたというスナイパー狙撃手、わかりやすくいうと殺し屋です。

ゴルゴ13はとても用心深い人です。

依頼人と接触をする時やふだんの生活で絶対に自分の後ろ側に人を立たせません。

相手に背中を見せないのです。

もし誰かが自分の後ろに立ったら、それが子どもや女性であっても容赦しません。

ゴルゴ13は背中を見せることを極端に怖れているのです。

背中が無防備で、自分の力では守れないからです。

言い方を変えればゴルゴ13は背中で勝負しないのです。

ところが、ゴルゴ13と関係の深い聖書には、平気で背中を見せるが登場します。

無防備に背中を相手に見せながら勝負した人がいます。

それは先ほど読んでもらった聖書に出てくるイエスです。

イエスは言葉の暴力に対して、無言で背中を見せることで勝負をされたのです。

ここで考えたいのは背中で勝負することの意味です。

明日の礼拝から中学1年生と高校1年生が一緒になります。

学年が変わり新しい席になり新しい人たちが入ってきただけではありません。

3年生は2年生と1年生に、2年生は1年生に背中を見せることになるのです。

2年生はこれまでの背中を見る立場から、見られる立場になるのです。

そこで考えたいのは、イエスのように、背中で勝負できる自分になるのか、それとも情けない背中をさらす自分になるのか、どちらを選ぶのかです。

背中で勝負するというのは、誰か他の人を見るのではなく、自分を見つめることです。

自分の内面、自分の心と真正面から向き合うことです。

自分の内側を見つめれば、たいていは自分の弱さや愚かさ、失敗などが見えてきます。

言い換えるなら、それは見たくないものを見るということです。

しかし人間は、自分の内側を見つめることを通して成長をすることができるのです。

自分の内側をしっかり見ることのできる人は、他の人から見れば魅力的な人、あこがれを持って見られる素敵な人になるのです。

毎朝の全校礼拝はこのチャペルに生徒と教職員が集まります。

一緒に座って、一緒に讃美歌を歌い、一緒に話を聞き、そして一緒に祈ります。

全校礼拝で一番求められることは一人になることです。

全校礼拝は一人ひとりが、一人になるための時間です。

一人になって、自分と向き合い、物事を深く考える時間です。

一人になることができる人は、周りから見ると間違いなく魅力的です。

後輩や新入生をがっかりさせないことは、自分自身を大切にすることでもあるのです。

そこで気づきたいのは、イエスが誰のために背中で勝負されたのかです。

自分のためではなく、抱えていた弱さのために罪を背負うことになった女性のためでした。

自分以外の人のためでした。

背中で勝負をすることは、他の人の存在や心を支え守ることにもなるのです。

新しい年度が始まります。

それをしっかりした背中を見せられる自分になることを一人ひとりが自覚する1年にしたいと心から願います。

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