清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2020/04/28
コロナウイルスの感染拡大防止を訴えるため、マスクをつけて会見をする人を多く目にします。
隣には、聴覚障害者のために会見の内容を手話で伝える手話通訳の方がマスクをつけずにいます。
なぜ、マスクを付けていないのでしょうか。
マスクをつけず奮闘する手話通訳者の理由を紹介する漫画がネット上で注目されています。
その漫画は、休日の午後、ある夫婦がコロナウイルスに関する記者会見の様子をテレビで見ていた時の会話から始まり、妻があることに気付きます。
「手話通訳の人だけマスクつけてない!」「予防しないとあの人危ないで!」
妻はみんながマスクを付けている中、手話通訳者だけがマスクを付けてなかったのでこういったのですが、大学で手話を学んでいた夫は、手話通訳者がマスクを付けていない理由を妻に説明します。
緊急会見など速報性の高い情報である場面において、聴覚障害者にとって重要となるのが手話であり、それを伝えるのが手話通訳者ですが、手の動きだけでは手話は伝わりません。
実際には顔の表情や体の向きなども必要です。
その中でも重要な役割を果たしているのが「口」です。
手話としての動きは同じでも、意味が異なる単語もあり、その場合は口で情報を補っています。
例えば、ひらがなの「あ」と数字の「5」を表す手話の形は同じなので、手話通訳者は手と同時に口で「あ」なのか「5」なのかを表現していると言います。
それを知った妻は、マスクをつけてしまうと手話が正確に伝わらないことを理解します。
作者はこう言っています。
「あの漫画は、実際に私たち夫婦の間で交わされた会話をもとに描きました。
僕にとってはあたり前だったことが、妻にとっては驚きだったようで、実は多くの人が知らないことなんじゃないかと思ったのです。
同時に、学生時代の聴覚障害者の仲間たちが、今の状況で肩身が狭い思いをしていたり、困ったりしていないかと思い、この漫画を書きました。
これをきっかけに聴覚障害者への偏見をなくしたり、理解を深めることにつながればいいなと思っています」
耳の不自由な人たちがマスクに感じる不便さは記者会見だけではありません。
私の両親も聴覚に障害を持っているので、日常生活に手話は欠かせません。
毎日の生活に不安を抱えています。
買い物や病院などで、今までなら手話がなくても口元を見て、なんとか理解できていたことも、相手がマスクをつけていると、口元の動きが見えず、言葉が理解できないというのです。
感染の拡大防止を優先しなければならないことは理解していますが、マスク1つが耳の聞こえない人にとっては大きな困難になっているということも現実です。
外出時にマスクを付けることが今は正しいことです。
先週、古口先生が話していた「正しさ」と「優しさ」、青柳先生のお話の「生活の中で自分ができる優しさ」も考えてみて下さい。
優しさの第1歩は、相手を知ることだと思います。
相手を知らない自分から、相手を知った自分に変われば、自然と相手に対する思いやりの心や優しさが生まれてくると思います。
相手にどんな思いやりや優しさができるか、そのことに目を向けてみると、心が自然と温かくなってきます。
まずは相手を知ることから始めてみましょう。