礼拝の話

2021/05/19 

5月19日(水) 聖書 コヘレトの言葉 12章12節 国語科 田野

日ごろ皆さんが勉強に使っている2階ロビーに、本棚が置かれ、本が並び始めました。

皆さんは本を読むとき、どういう読み方をしているでしょうか。

夏目漱石の『草枕』の中に、本の読み方について興味深い話があります。

登場人物の画工(えかき)が本を読んでいるところへ、一人の女性が話しかけます。

西洋の本を読んでいるらしい図工にどんな内容かを尋ねます。

しかし、図工は「自分にもよくわからない、開いた場所をいい加減に読んでいる」と答えます。

女性は、「変わっていますね。最初から読んではいけないのですか」とまた尋ねます。

図工は、「最初から読んだら最後まで読まなければならなくなる。パッと開けて漫然と読んでいるのがおもしろい」と答えます。

女性は不思議がりますが、図工は「小説も非人情で読むから、筋なんかどうでもいいんです」といいます。

「非人情で読む」とは、ここでは「登場人物に感情移入せず、客観的に読む」ということを指しているように思います。

登場人物と一体化せずに、距離を置いてみることで、そこにある考え方や言葉による表現に触れることができるようになります。

本ということでいえば、毎朝のチャペルで私たちは聖書を開きます。

たまたま開かれたページは、興味深いことをたびたび私たちに与えてくれます。

「ぱっと開けて、開いた所を、漫然と読」む。

そこから自分の日々の過ごし方のヒントを得る。

知識とは異なるまとまった考え方に触れられる機会となるはずです。

知識を得るためだけ、ストーリーを追うためだけに本を読む。

そのような読み方では、いくら読んでも、「体が疲れる」だけなのかもしれません。

物事の考え方は、書物に書ききれないほどたくさんあります。

自分にとって良い考え方に偶然出会えたことは喜ぶべきことです。

かわいた心を潤す一言に出会えるような本の読み方をしていきたいと思います。

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