礼拝の話

2019/06/10 

6月10月日(月)聖書:マタイによる福音書10章16節 校長 小西二巳夫

荻原浩という小説家の「神様からのひと言」という作品があります。
珠川食品のお客様相談室という部署で働く佐倉涼平が主人公です。
作品タイトルの「神様からのひと言」の神様は“お客様”のことです。
お客様相談室に連絡をしてくる“神様”は優しい声で電話してくるはずもありません。
怒り、そしり、嫌味、皮肉、愚痴、当てこすり、恨み、嘲りに満ちた言葉が叩きつけられます。
そのなかでこの部署の人たちの多くは耐えきれなくなって辞めていきます。
会社もそれを狙って、やめてほしい社員をわざわざその部署に配置しますが、この涼平、性格からしてすぐに辞めるだろうと思われていたものの、そうはなりませんでした。
それは先輩社員の篠崎さんが適切なアドバイスをしてくれたからでした。
自分中心にしか物事を考えられない涼平。
そういう生き方をしてきたために、しかもそのことに何の問題も感じないために、人として大切なことに気づかない、失っている涼平に対して、“神様”であるお客様からかかってくる苦情の電話は、聞きたくない言葉、仲良くなりたくない人の言葉、できれば無関係でいたい人の言葉であふれていました。
今までの涼平であれば、すぐに逆上して暴言を吐いたことでしょう。
しかし色々な現実の中で、致し方なく辛抱せざるを得なかった状況の中で、それを続けることで涼平の内面が少しずつ変わっていきます。
涼平はいわば“神様”であるお客様の言葉、その一言によって人間的成長をすることになりました。
この本を読み終えてわかることは、本当の神様はお客様ではない、ということです。
神さまの意思がお客様の言葉となって涼平に語り続けられてきた、ということです。
しかもそれは、自分にとって聞きたくない言葉や、顔を合わせたくない存在を通して、働きかけられてくるということです。
周囲の様々な人を通して、時には見たくもない聴きたくもない存在を通して神さまは私たちに働きかけてくださっているということです。
そのことに気づくなら、今日という1日が、そして今日から始まる1周間がとても意味ある時間になります。

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