礼拝の話

2019/06/26 

6月26日(水)聖書:ローマの信徒への手紙 15章7節 社会科 山脇

5月の連休中に、一冊の本を読みました。
「ベルリンは晴れているか」という第二次世界大戦終結直後のドイツを舞台にした小説で、一人の少女が、ある殺人事件に巻き込まれていくという内容なのですが、ミステリー小説であると同時に、当時のドイツの社会を伺うことができる小説でもあります。
 第二次世界大戦が始まる前、ドイツでは、ナチスという政党が政権を握ります。
このナチス、正式名称は、国家社会主義ドイツ労働者党といいますが、この政党を率いたのがヒトラーという人物です。
ナチスが政権を握ってから、ドイツでは極端な民族政策が実施されていきます。
20世紀に活躍した政治思想家に、ハンナ=アーレントという人がいます。
ユダヤ系のドイツ人であった彼女は、第二次世界大戦が始まる前に、迫害を逃れてアメリカに亡命し、戦後、ドイツで起きた現象をあらゆる角度から研究しました。
ナチス政権時代のドイツは、一般的に「全体主義」、一人ひとりの自由や権利よりも、国の利益や民族の利益を最大とする考え、政治体制がとられていました。
ハンナは、全体主義の起源は、一人ひとりが「考えなくなること」で生まれると結論付けます。
誰かに任せれば良い。誰かに頼れば良い。誰かの指示に従っていれば良い。
「考えることをやめた時」、全体主義は生まれると言うのです。
なぜでしょうか。それは、その方が安心で楽だからです。
自分で考え、行動しようとする時には、不安や悩みが生じます。
考えの異なる人と議論になることもあります。
「自分はこう思う」「自分の意見は正しい」という思いと、同時に「自分の意見は本当に正しいのか」「自分の行動は間違っていないのか」、という疑問や不安が生まれます。
その中で、周りの人と意見がぶつかることもあるのです。
ハンナは、考えることと同様に、議論することが大切だと主張します。
それは、自分と違う他者と向き合い、相手の考えを理解しようと努力しているからだ、と言うのです。
誰かに任せるのは確かに楽ですし、誰かと議論することは疲れることです。
しかし、「考える」ということは、自分を理解すると同時に、他者を理解しようとすることでもあります。
毎日の生活の中で、ほんの少し、自分自信を見つめる時間、自分で考える時間を持ち、自分に出来ることを1つずつ行動に表していきたいと思います。

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