清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2020/07/21
中学2年生と高校1年生の家庭科の授業では、現在食生活の分野を勉強しています。
中学の家庭科の教科書に生物学者の福岡伸一さんの「あなたは食べ物でできている~You are what you eat?~」というコラムがありました。
『今、自分のものと思っている体を作っている原子・分子は、1年たったらほとんど入れ替わっています。
だから、去年の君たちは今、ここにいません。それでも、なんとなく自分は自分という感じがします。
ジグソーパズルの絵は変わらないように見えるけれど、ピースの一つひとつはどんどん更新されているようなものです。
これが生命現象の本質で、これをやっているから私たちは80年ぐらい生き続けるのです。
つまり、食べ物は私たちの体自身なのです。
英語で“You are what you eat.”という古いことわざがあります。
「あなたとはあなたが食べた物自体」という意味ですが、これはまさに分子レベルではその通りです。
良いものを食べることは自分の体を健康にすることです。』
健康、とはなんでしょうか。
「健康」の定義は、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。
健康と聞くと、体の質を高めることのように感じますが、体だけでなく心も満たされていることが必要になります。
先程のコラムにあるように、体は食べ物でできています。
では、心は何でできているのでしょうか。
私は、心は環境が作り出すものだと思っています。
それは、人間関係や経験、交わしてきた言葉の数々、私たちが日ごろどのような環境で歩んでいるか、そこから感じること、考えること、それが心の形成に深く関係していると思います。
心が満たされるヒントは、毎朝の礼拝の中にあると思います。
みなさんには毎朝、礼拝という環境が与えられています。
日々の生活の中で、人間関係や誰かの言葉で傷ついたりして心が乱れることはたくさんあります。
しかし、この朝の礼拝の中で、讃美歌を歌い、聖書の言葉を聴き、先生方のメッセージを聞くことで、心にエネルギーが注がれていきます。
体に必要な栄養は食べ物から得ますが、心に必要な栄養はこの朝の礼拝で得ることができます。
マザーテレサは「一切れのパンではなく、多くの人は愛に、小さなほほえみに飢えているのです。」といっています。
私たちの心は傷ついたり、乱れたりしている時には「愛」に飢えています。
礼拝では、神様が私たちを愛してくださっていることや、隣人を自分のように愛しなさいという隣人愛など、たくさんの愛を受け取り、それをまた隣の人へ与える愛を自然に育んでいます。
みなさんの心のコップには、毎朝の礼拝でどれだけの愛が注がれているでしょうか。
コップは水がどんどん注がれたらあふれてしまいますが、あふれそうになったら他のコップに注ぐこともできます。
礼拝で心のコップを満たし、それをどんどん周りの人にも注ぐこと、それこそ心の健康につながると思います。
一方で、コップをさかさまにしていると、いくら水を注いでもコップの中には入っていきません。
「日々の礼拝を大切にしましょう」とよく言いますが、大切にするということは、心のコップを上に向け注がれる愛をしっかりと受け止めることだと思います。
そして、礼拝から始まる1日の学校生活、家庭生活の中で注がれた愛を分けていくことで、より、心が豊かになるのだと思います。
心のコップを上に向け、今日という1日をスタートしましょう。