清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2024/09/10
先日、9月1日は防災の日でした。
1923年の9月1日、関東一帯を襲った関東大震災を契機に制定され、今年101回目を数えました。
9月2日の高知新聞には「防災の日、備え見直す契機」というタイトルの記事と共に、「関東大震災101年 朝鮮人犠牲者悼む集会」が行われた記事がありました。
この記事を読みながら、東京で若い学生さんたちが、この朝鮮人虐殺について、学び続けているというニュースを思い出しました。
彼らは、「都知事が追悼文を出さなくなった、ということで気になった」といいます。
このニュースで取り上げられていた「ほうせんか」という会の代表の方は、「自分たちには、悼むことしかできないのだ」といいます。
それと共に、この若い学生の皆さんが、このことを覚え続け、学び続けてくれることに希望を見出しているようでした。
関東大震災やデマによるこの事件を、わたしたちは一見すると「過去のこと」と捉えがちだと思いますが、このことは過去のことではなく、今現在に至ることだと「ほうせんか」の方はおっしゃいます。
日本は79回目の8月15日、敗戦の日を迎え、戦うことを最早しないと定めた平和憲法のもとに憲法9条をもって、ここまで歩んできました。
戦争による死者を出さずに来た珍しい国です。
しかし、その中で、このように、亡くなった人数も名前もわからないままにいる人々がいたことも事実です。
戦争の世紀といわれた20世紀から、新たな戦争の世紀である21世紀へと進む今、わたしたちが本当に考えなければいけない平和は何なのかを強く考えさせられています。
戦争の歴史を振り返ると、いつも悲惨な立場においやられるのは、弱い立場の人たちです。
簡単に言えば、こども、年寄り、女性です。
外国からの脅威や、戦う力を持たなければいけない、という声が大きくなればなるほど、わたしたちは、周囲との敵対意識を大きくするように思います。
そうではなく、まさに聖書にあるように平和を創り出すためには、何が必要なのでしょうか。
それは、相手を信頼することがスタートでしょう。
「ほうせんか」の花言葉は、「心を開く」だそうです。
今を生きるわたしたちだからこそ、心を開き、その先にある命を想像することが求められるのだと思います。
想像、イメージすること。
これは、人間にできる大切な能力です。
自分の痛みを想像する。
他者の痛みを、悲しみを想像する。
日本が79回目の8月15日を迎えることができたのは、79年前の悲惨な出来事を繰り返してはいけないという強い思いがあるからです。
2学期を始めるにあたり、平和を創り出すために学ぶ一人ひとりとして、しっかりと想像力をもつ学びの時を過ごしていきましょう。