清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2020/09/23
<開会礼拝>「清和はなぜ青組と黄組なのでしょうか」
清和はすべてが「礼拝に始まり、礼拝に終わる」を大切にしてきた学校です。
今日も開会礼拝から始まります。
今年の入場方法は、まず中学1年生からでした。
歩いている間に担任の先生から、一人ひとりの紹介の言葉を言ってもらいました。
一人ひとりを大切にする清和の教育を表すオープニングにしたいと考えたからです。
体育大会で2つに分ける場合、普通は赤と白です。
清和は青と黄でやってきました。
理由ははっきりわかりませんが、その分からないことを通して、よく分かることがあります。
一見、色が違うという以外に何の関係もないように見える青色と黄色ですが、この2色は実は深い関係があります。
ゴッホの「夜のカフェテラス」という作品は青と黄を大胆に使い、夜の風景をものすごく明るく元気な絵にしています。
青色が黄色を活かし、黄色が青色を目立たせているのです。
体育大会は競争の色合いが強い行事で、勝ち負けを決める種目が中心です。
お互い相手に負けないように、全力を出して戦い、全力で味方を応援します。
赤と白の2組にわけて争うことの始まりは、平安時代末期源氏と平氏の権力争うにさかのぼります。
清和は体育大会を、勝ち負けを決めるだけの行事にはしたくないと考えます。
青色と黄色は違いを尊重する関係にあると言いましたが、それだけではありません。
2つの色を一緒にすると緑色になります。
緑色はおだやかで成長と安心、そして平和を表す色です。
今回の体育大会のテーマは「一意奮闘~今に負けるな~」です。
一意は心を1つにするということです。
それもただ考えもなしに同じ色になるような一緒ではありません。
お互いの違いを認めながら受け入れるという、そういう1つです。
その上で1つの方向を目指すという意味です。
それを聖書の言葉にすると「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし」となります。
奮闘、これは全力を出して一所懸命取り組むという意味です。
何に取り組むのでしょうか。
青色と黄色が1つになって作りだされる色です。
緑が表す平和です。
それを聖書は主なる神を愛し、隣人を自分のように愛すると表現しています。
主なる神を愛しというのは、自分中心にならず謙虚な気持ちで生きることです。
隣人を自分のように愛する、そのような関係がお互いの間で、地域と地域の間で、そして国と国との間で作り出せたら、誰もが安心して幸せに生きる、それが本当の平和です。
清和の体育大会は、誰もが願う平和と安心の世界を、青組と黄組に分かれて、お互いの違いを受け入れ合いながら、対話をしながら、1つになって取り組む、そこで生み出される自由と喜びを一人ひとりが自ら体験することによって、平和を作り出すことの素晴らしさとその意味をシミュレーションしてもらうために行うのです。
それを一人ひとりが心に刻みながら、今日1日に取り組んでいきましょう。
心を動かし体を動かす、一意奮闘していきましょう。
<閉会礼拝>
今回の体育大会は限られた時間の中で準備をしてきました。
清和の生徒として、みなさんは心を尽くすことができたでしょうか。
体を動かすことができたでしょうか。
役割と場面でベストを尽くすことができたでしょうか。
私が毎年体育大会を終えるときにみなさんに必ずいうことがあります。
清和にとって体育大会は思い出作りの時間や場所ではないということです。
1つ1つの行事を簡単に思い出にしてはいけないということです。
思い出にするということは過去のことにする、終わったことにすることです。
取り組んできたことを簡単に過去にしては意味がありません。
清和は、行事を結果ではなく、むしろ作り上げるプロセスを大切にします。
それは生きる力をもった人になってもらうためです。
そこで少し視点を変えて今回の体育大会を考えてみます。
すると成功だったのかどうか、良いものであったのかどうかがすぐにわかります。
一番はみなさんの表情とまなざしです。
目の前の人の表情・まなざしはどうでしょうか。
生き生きしているでしょうか。
輝いているでしょうか。
達成感が見えるでしょうか。
みなさんが見ている相手の表情、それはみなさん自身の表情です。
そして、今回の体育大会がよいものであったかどうかは、みなさんのこれからの学校生活の仕方にかかっています。
これまで以上に自分自身をしっかり見つめることができるかどうか、周囲の人に対する気遣いができるかどうか、1つ1つの課題にきちんと取り組めるかどうか、そこに体育大会が意味あるものであったかどうかのすべてが表されます。
心と体をしっかり休めて、水曜日にこれまで以上に生き生きとした表情とまなざしをもったみなさんと、チャペル礼拝でお会いしたいと願います。
保護者のみなさまのご理解とご協力に心から感謝申し上げます。