礼拝の話

2022/10/03 

9月29日(木) 聖書 ヨシュア記 6章2~5節 日本キリスト改革派 山田教会 高内信嗣牧師

インド出身のマハトマ・ガンディーという人がいます。

南アフリカで弁護士をする傍らで公民権運動に参加し、帰国後はインドのイギリスからの独立運動を指揮した人物です。

ガンディーの名言の一つに「速度を上げるばかりが、人生ではない」という言葉があります。

この言葉を聞く時に、「回り道をすることも人生」、「静かな、沈黙したような日々も人生」だと教えられます。

「回り道」ということに関連して、本日はもう一人の人物もご紹介したいと思います。

ヨハネス・グーテンベルグという15世紀半ばに印刷術で革命を起こす発明をした人物です。

彼は宝石磨きの仕事をしていましたが、ある時、図書館である書物を見せてもらい感激し、もっとたくさんの人に書物を見せたいと思い、宝石磨きの仕事を捨てて、木版の技術を学び、苦労の末に木版の絵入り聖書を出版しました。

しかし、彼の大きな目標は本物の聖書を丸ごと出版するというものでした。

手で彫り上げる木版ならば、何十年もかかる事業です。

彼はコツコツと彫っていきましたが、ある晩うっかり作業中の木版に傷をつけてしまいました。

彼はなんとかならないかじっくり見つめていると突然アイデアがひらめきました。

木版の文字をばらばらにして使えないだろうか、というものです。

こうして、一字一字アルファベットを刻んだ活字が誕生し、活字の組み合わせによる活版印刷技術が発明されたのです。

この技術は革命的な技術で、民衆にも様々な書物が広く行きわたるようになったのです。

途方に暮れそうな事業の中で、一つの突破口が開かれたのです。

今日、読んでいただいた聖書の箇所は、「約束の土地」についての場面です。

その土地にはエリコという城壁のある大きな町が立ちはだかっていました。

そのような中で神さまは、毎日、町を一周し、それを6日間続け、7日目には町を7周して、最後に鬨の声あげるようにお命じになりました。

彼らは命令通り毎日、一周、グルっと町を回るわけです。

沈黙した、遠回りのように思えることを神さまはお命じになりました。

そして7日目。

町を7周して鬨の声を上げると、エリコの城壁は崩れたのです。

ぐるぐる回っているだけで、最初の6日間は意味がないように思えます。

この沈黙したこの時間に意味はあるのかと思えるような時が、彼らにとって必要だったのです。

沈黙を乗り越えて、一気に道が開かれたのです。

私たちの人生もそうかもしれません。

この学校の時間が、家と学校のただの往復のような空虚な時間に思えても、大切な時間なのです。

皆さんが羽ばたいていき、進んでいく。そのための大切な時間です。

つまずいたとしてもどこかで思わぬ道が開かれることがある。

回り道だと感じても、この時間は必ず、用いられるはずです。

そう信じて、今日の営みに押し出されたいと思います。

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