ニラの話

2016年09月21日

(稲垣栄洋著『身近な野菜のなるほど観察録』より)

ニラはコンパニオンプランツとしてオーガニクスの授業でも習った。ニラは古くは「ミラ」と呼ばれていた。漢字では美辣。これはずばり、おいしいという意味だ。野菜の種類が少なかった昔は、ニラは大いに重宝されたという。ニラというと、餃子やレバニラ炒めなどの中華料理を連想するので、平安時代の女官たちがニラを食べている光景は、容易には思い浮かばない。においの強いニラは、現代ではウィークエンド・ベジタブル(週末野菜)と呼ばれて、女性から遠ざけられている。勤めのある平日には、とても食べられないということなのだ。いにしえの女官たちは、ニラの強烈なにおいは気にならなかったのだろうか。不思議である。

ニラは『古事記』や『万葉集』にも登場するほど古い野菜だが、現代のように大々的に栽培されるようになったのは、ごく近年のことである。昔は、畑や庭の隅に数株植えられているという程度の存在であった。ニラは別名をらい人草という。らい人とは、怠け者のことである。ニラはつぎつぎに芽が出てくるので、一度植えておけば手間を掛けることなく何度も収穫できる。つまり怠け者でも育てられるという意味だ。条件がよければ年に10回以上、収穫することもできるからすごい。

刈られても刈られても芽を出すことができるのは成長点が地(ち)際(ぎわ)にあるためである。植物の成長点は茎の先端にあるのが一般的だ。茎の先端から葉が一枚また一枚と展開しながら、上へ上へと伸びていくのである。ただし、この成長は欠点がある。茎が折れてしまうと、茎の先端の成長点が失われてしまうのだ。ところがニラは違う。ニラはごく短い茎が地際にあって、そこから葉を上へ上へと押し上げていく。だから、葉を摘んでも成長点は失われることなくつぎつぎに葉を出すことができるのである。

夏になるとニラは花茎を伸ばして花を咲かせる。夏の炎天下、濃い緑の葉の中に咲く雪白色のニラの花には涼しげな印象がある。よくよく見ると、ニラの花はなかなか美しい。夏の夜空に輝く星のように均整がとれている。今がまっさかりで、きれいですよ。

正義を勝利に導くまで、/彼は傷ついた葦を折らず、/くすぶる灯心を消さない。(マタイ12:20)

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