清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2025/12/13
聖書 マルコによる福音書 12章28~34節
『ムーミン谷の仲間たち』という短編集に「もみの木」という話があります。
ムーミンたちは、毎年11月から4月まで冬眠するので、クリスマスを知りません。
冬眠から起こされたムーミンたちは、クリスマスが何かをあれこれ考えますがよくわかりません。
ムーミンたちは周りの様子から、クリスマスにはもみの木が要ること、ごちそうを作ること、ろうそくを立てることなどを知ります。
恐る恐るクリスマスが来るのを待っていると、近づいて来たのは寒さで凍えそうになっている「はい虫」たちでした。
はい虫はムーミンの話に出てくる、目に見えないほどの小さな生き物です。
大変な働き者で、春になると草木の芽吹きを助けるなど大切な存在です。
そのはい虫がローソクで明るく照らされているもみの木のところにぞろぞろやって来て、はい虫の1人がムーミンに恥ずかしそうに「クリスマスおめでと」といいました。
はい虫の言葉と様子から、クリスマスが怖いとは限らない、少なくとも小さく弱いはい虫にとってはうれしいものだということがわかったのです。
もみの木の話はムーミンの「クリスマスは怖くない。小さな者たちにとって、大切な時なんだ」の言葉で終わります。
イエスは律法学者の質問に、人として目指すべき生き方は、神である主を愛し隣人を自分のように愛することだと答えられました。
イエスにとって隣人とは、社会の中で弱さを抱えざるを得なくされている、存在そのものが認められず無視されている、社会の片隅に追いやられている人のことです。
ムーミンの話でいえば「はい虫」です。
イエスはそうした立場の人を愛し大切にすることが、神を愛すること大切にすることであり、何より求められる生き方だといわれているのです。
神自らそれを行うために、この世にイエスを誕生させられた、それがクリスマスです。
ムーミンは「クリスマス」の本当の意味を知ることはありませんでしたが、謎のクリスマスを待つ中で、ローソクの光を求めてやって来た弱い立場に生きる「はい虫」を大切に迎え入れました。
ムーミンはそれぞれが持つ弱さをふつうに受け入れる存在に育ちました。
それはキリスト教の基本的な精神でもありますが、ムーミンがそれを持てるようになったのは、同じくそれを持つ両親や隣人が、今日の聖書にあるように、心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして育てたからに他なりません。
その使命が神から託されているのが清和です。
清和はキリスト教による人間教育によって、ホスピタリティを持った人、自分で考え、その考えに基づいて判断し行動できる人を育てる学校として立てられました。
今夜おいでいただいたみなさんの前で、チャペルクリスマスに真正面から取り組む一人ひとりを見ていただくことで、124年間その使命に励んできたことをお判りいただけたなら、まことに幸いです。
クリスマスおめでとうございます。
