礼拝の話

2026/03/02 

校長 小西二巳夫

聖書 ヨハネによる福音書 8章7~11節

『あずかりやさん』という小説があります。
ある日、電話で預かり物の依頼がありました。
電話の声のは中年男性のようで、預かってほしいのは自分の声だというのです。
そこで、預かり屋さんは声を録音させてほしいといいましたが、相手は待ちきれずにしゃべり、そして電話を切ってしまいます。
それから4年半後に声を返してほしいという人がやって来ます。
北林八重子さんという60歳を過ぎた女性でした。
八重子さんは夫の書斎にあった電話番号を書いたメモを見て尋ねてきましたが、夫が何を預けたのかは知りませんでした。
八重子さんによると、声を預けた夫は患者思いの小児科のお医者さんで、家庭の中でも夫として父親として、優しさにあふれていました。
しかし、若年性アルツハイマー症にかかり、病気の進行と共に優しさを失い、他の人の人格を傷つける言葉を吐くようになります。
行動も周りに迷惑をかけるようなことが増えていき、その度に八重子さんは迷惑をかけた相手に謝りに行ったとのことでした。
電話番号のメモを見た時も、電話番号先に迷惑をかけたと思い謝りに来たのです。
事情を理解した預かり屋さんは、預かった声を八重子さんに返します。
「北林洋二郎 52歳 生きて来て最高にうれしかったベスト3は 八重子に出会えたこと、八重子と結婚できたこと、八重子のハンバーグを食べたこと、悲しかったことはみんな消えてしまうこと」。
洋二郎さんの声を返してもらった八重子さんがいいました。
「お支払い金額以上に価値ある言葉です。私はこれさえあればやっていけます」。
「これさえあればやっていける」とは、夫洋二郎さんが自分に残してくれた言葉によって、これからの人生を、希望をもって生きていけるということです。
希望を持って日々を歩めるよう祈りたいと思います。

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