清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2025/09/08
聖書 マタイによる福音書 26章73~75節
『成瀬は天下を取りに行く』の続編に『成瀬は信じた道を行く』という本があります。
この本が多くの人を引き付けるのは、主人公の成瀬あかりのまじめさやまっすぐさがもたらす笑いにあります。
成瀬が何かを始める時、彼女の中にははっきりとした目的や理由があります。
読み進めていくと、成瀬の考えることすることに共通点一貫性があることがわかります。
それは「地元愛」です。
愛する地元を盛り上げたい、住みやすい場所にしたい、そのために自分にできることをあれこれ考えていたわけです。
新約聖書のマタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの4つの福音書に出てくるイエスは30歳頃から活動を始めましたが、それまでどこで何をしていたのかはほとんど書かれていません。
本来農作物も魚も豊かに取れるガリラヤ地方は恵まれた場所であったはずです。
しかし、その豊かさを周囲の大国はあれこれ圧力をかけて取り上げていたのです。
イエスはそうした現実を目の当たりにしながら成長し、大人になるにつれて、貧しい生活をさせられていることに憤りを感じるようになったと考えられます。
『成瀬は天下を取りに行く』の成瀬あかりに重ねるなら、イエスは地元愛にめざめ、それだけにとどまらず、地元愛を見える形で実行していったのです。
それは何も2000年前の話と片づけるわけにはいきません。
イエスが私たちに求めるのは、地元愛の「地元」が自分が住んでいる狭い地域だけのことでなく、世界中のあちこちにあることに気づくことです。
そして地元愛を具体的な形にして実行することです。
どうすれば具体的な形にできるかをしっかり考えることです。
それがイエスを裏切るという失敗をしながらゆるされた今日の場面のペトロのように、毎日の生活の中で、他の人や自分自身を傷つけながら過ごしている、しかもそのことになかなか気づかない私たちに求められているのです。
そのことを大切に、今日一日を始めたいと思います。
