清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2025/03/04
卒業する高校3年生と共に歩む中で学年通信のタイトルを「pay it forward」にしました。
そのままタイトルになっている映画からとったものです。
11歳の少年トレバーは、ある日社会科の授業でシモネット先生から「世界を変える方法を考え、それを実行する」というとても難しい課題を出されます。
トレバーは一生懸命を考え「pay it forward」という方法を考え、それを実践していきます。
「pay it forward」とは、まず自分が3人を助け、助けられた3人もまた3人ずつ助けるというものです。
恩を相手に返すのではなく、誰かに送ることを繰り返していけば、1つの善いことは何倍にも膨れ上がり、世界が変わるというものです。
この言葉を掲げた1年でしたが、誰かを助けるどころか周りの先生方や高校3年生の皆から助けられてばかりだったような1年でした。
卒業準備期間の最初の頃、本当に今更なのですが、「なぜこの言葉を選んでしまったのだろう」「これまで私はなにかできていただろうか」と考えるようになりました。
周りから沢山助けてもらっている自分がいることに気づき、いただいてばかりだと感じていました。
この期間で思い知らされたことは自分にはできることは本当に限られたことでしかないという事でした。
自分にできることは何かあるのだろうかと考えても、自分だけでは考えが浮かばず、頭の中をぐるぐる「自分は何ができるのだろう」が回り、負のサイクルに突入してしまいます。
私は悩むと周りの人に相談します。
今回は妻に相談しました。
自分の感じていること、悩んでいることを打ち明けると、いろいろなことを言われた後、「でも、一生懸命なところがいいところやんな」と。
この言葉にハッとさせられました。
自分にはできるところが少ないかもしれないけれど、いいところはあることに気づかされました。
自分にいいところがあると気づいたとき、今日の聖書箇所であるタラントンのたとえを思い出しました。
1タラントンというお金の価値は当時のユダヤの社会では一人が約65年働かなくても生活できるほどの価値がありました。
更にいうと当時の平均寿命は30代なので、人生2回繰り返しても余るほどの価値のある物だったといえます。
また、タラントンとは神さまから授かった賜物、能力という意味があります。
このことから人生を2回繰り返しても余りがあるほどの才能や能力を与えられていることがわかります。
そしてタラントンを神さまは私たち一人ひとりの力に応じたものを渡してくれています。
私に与えられたいいところ、才能や能力は、一生懸命に1つ1つしていくことです。
悩んで、人に相談して、やっと見つけられるものでした。
なかなか簡単に気づけるようなものではありませんでした。
学年通信に掲げていたPay it forwardの言葉のように3人の人を自分が助けられるとは正直思えないです。
しかし、今自分の持っているできる限りの力を尽くして、それを必要とする他者のためにこの与えられた力を使っていこうと思います。