礼拝の話

2026/10/19 NEW

校長 小西二巳夫

聖書 イザヤ書 2章2~4節

作家万城目学の小説に『8月の御所グラウンド』があります。
主人公の朽木は大学4年生です。
ダラダラとした毎日を過ごしていたので、付き合っていた女性にフラれ、落ち込んでいるところに同じ大学に通う多聞が自分の研究室の野球チームに入るよう頼みにきます。
物語は、いやいやながらメンバーに入った朽木が、それぞれのメンバーと関わっていく様子が描かれます。
たとえば、自転車に乗ってフラッとグラウンドにやってきた「えーちゃん」という野球がすこぶるうまい青年や、野球が大好きな大学生遠藤君などです。
朽木の目の前にいる野球の上手なえーちゃんは、伝説の大投手、戦死した沢村栄治でした。
遠藤君も京都大学に入学しながら3ヶ月後に戦死した青年だとわかりました。
朽木は、野球がヘタな自分たちと一緒に野球を楽しそうにしている彼らがなぜ現れたのか、あれこれ考えました。
そして気がついたのです。
えーちゃんたちは野球がしたかったのだ、生きたかったのだと。
彼等の命が戦争によって奪われたこと、好きな野球ができなくなったことは、決して過去のことではありません。
今まさに世界の各地で起こっていることです。
聖書は、そしてイエスは平和をつくり出す人は幸いであるとの言葉で、国や権力者が戦争によって、若い命を簡単に奪うこと、好きなことをさせないことに対して、あきらめないでノーと言える人、それを考え続ける人になることを求めているのです。

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