礼拝の話

2021/09/02 

9月1日(水) 2学期始業礼拝 聖書 ローマの信徒への手紙 3章9~12節 校長 小西二巳夫

今日から2学期が始まります。

早く学校に行きたいと思った人、できるならもうしばらく休みが続いてほしいと思った人、それぞれですが、こうして始まった2学期です。

そこで、この2学期を気持ちよく過ごすためにはどうしたらいいのかを考えてみました。

1つは新型コロナウイルス感染問題です。

夏休みの後半から感染者が急増し、高知県内も毎日が緊張の連続です。

もう1つ、何ともつらく悲しいことが起こったというか、始まりました。

アメリカ軍がアフガニスタンから全面的に撤退することになり、対抗勢力のタリバンがアフガニスタン全土を支配し政権を握ることになったのです。

このため、市民の生活が一変しました。

この状況に対してアメリカ大統領は自分の判断は正しいと主張しています。

反対勢力のタリバンは、自分たちの正しさがアメリカのすべてに勝ったといいます。

こうした状況になったアフガニスタンの今が教えてくれることがあります。

というよりは、人として厳しく問われることがあるのです。

それは、人間が自分の正しさを主張し、それをお互いが行ったら、そして自分の正しさを力で表そうとしたら、何が起こるかということです。

人と人との場合、それはケンカになり、互いの関係にヒビが入り、壊れることもあります。

それが国レベルで起こったのが、アフガニスタンです。

戦争になります。

生活を奪い、人権を奪い、命を奪い、代わりに憎しみを育てます。

「Nobody is right」という曲があります。

「Nobody is right」という英語を続けた後、次のような歌詞になります。

「もしも 私がすべて正しくて とても正しくて 周りを見れば 

世にある限り すべてのものは 私以外間違いばかり

 もしも あなたがすべて正しくて とても正しくて 周りを見れば 

世にある限り すべてのものは あなた以外間違いばかり…」

英語の文法で「私」は1人称、「あなた」は2人称です。

2人称の「あなた」ですが、その人の立場からすると「私」という1人称です。

一人ひとりの「私」が1人称で考える、私という立場ですべての物事を考えるとどうなるでしょうか。

正しいと信じている私同士がお互いの正しさを主張し合うわけです。

仲良くやれるはずがありません。

ケンカになり戦争になるのは当たり前です。

「Nobody is right」の続きはこうです。

「つらいだろうね その1日は 嫌いな人しか 出会えない

 寒いだろうね その一生は 軽蔑だけしか 抱けない

 つらいだろうね その1日は 嫌いな人しか 出会えない

 寒いだろうね その一生は」

自分の正しさを押し通したら、何事もつまらないもの、むなしいものになるのです。

まさにこういう気持ちになった一人がローマの信徒への手紙を書いたパウロです。

パウロはユダヤの掟・ルールである「律法」をしっかり守って生きることが何より大切だと考えていました。

それが自分たちにとって正しく生きることだと信じて疑いませんでした。

それだけに、律法を大事に考えず、十字架に架けられて死んだイエスを救い主と信じている人たちの行動や存在をゆるせませんでした。

そこでパウロはそういう人たちを捕まえては牢獄に入れること、時には命を奪うことも正しいと信じて行動していました。

徹底的に迫害したのです。

ところが、そうした行動を続ければ続けるほど、喜びを感じるどころか、空しくなっていったのです。

「つらいだろうね その1日は 嫌いな人しか 出会えない 寒いだろうね その一生は」という歌詞通りの心境になっていったのです。

パウロが雷に打たれて馬から落ちるという出来事によって気づいたことがあります。

今日の聖書の箇所の「正しいものはいない。一人もいない」そして「善を行うものはいない。ただの一人もいない」という言葉ですが、パウロはそれまでずっと自分に向けてではなく、他の人に向けて使っていたということです。

他の人を見下し批判する言葉として使っていたのです。

そのパウロがイエスと出会うことによって、正しいものはいない、一人もいない、自分も間違いなくその一人であることに気づかされたのです。

そこを出発点に物事を考え、行動しなければならないことがわかったのです。

この時から、パウロという人の持つ空気感は周りから見てずいぶん変わったように感じられたはずです。

清和の2学期を一人ひとりがきもちよく過ごすためには、自分自身がよい空気感を作り出す大切な存在であることにぜひ気づきたいものです。

その一人ひとりを、イエス・キリストは愛で満たしてくださいます。

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