礼拝の話

2021/09/07 

9月6日(月)聖書 テサロニケの信徒への手紙Ⅰ 5章9~11節 校長 小西二巳夫

県立美術館で深堀隆介さんの展覧会が開かれていました。

絵を描くというとふつうは油絵ならキャンバス、日本画なら和紙ですが、深堀さんはアクリル樹脂に描きます。

深堀さんが描く金魚は立体的で、今にも泳ぎ出しそうに生き生きとしています。

深堀さんは「すくった金魚に救われた」と話されています。

言葉遊びのようですが、それが本心のようです。

画家として活動していた深堀さんは、ある時から作品に自信がなくなり、自分が何を描きたいのかわからなくなりました。

悩みながら過ごしていたある日、深堀さんは部屋の中の金魚鉢とその中で泳ぐ金魚を見てハッとしました。

この金魚は7年前に夜店の「金魚すくい」ですくった1匹で、捨てるわけにもいかず飼うことにしましたが、大切に飼おうと意識したわけではなく、気がついた時に水を変えるくらいでした。

その金魚が金魚鉢の中で泳いでいるのを見て、ハッと「自分が描きたかったものがここにある」とわかった、まさに「すくった金魚に救われた」ような気がしたのです。

それから、どうすれば自分が描きたい金魚が描けるか試行錯誤をし、たどり着いたのがアクリル樹脂レジンに描き重ねていく技法です。

深堀さんの作品を観ながら、思わず笑ったり感心したり、幸せな気持ちになりましたが、同時に考えさせられたことがあります。

それは今の地球が置かれている状況です。

日本だけでなく、世界各地で大雨が降り、巨大な台風が次々に発生する一方で、雨が降らず乾燥して大規模な火事が次々に起こっています。

今の地球の状態を深堀さんは水の汚れた金魚鉢に重ねて考えました。

金魚鉢の水の汚れのために金魚が水面でパクパクしているように、地球自身が環境汚染のために悲鳴をあげているというのです。

地球に悲鳴をあげさせているのは間違いなく人間です。

その人間が今、責任をもってしなければならないことは地球を救うことです。

金魚鉢でいうならきれいな水に変えることですが、金魚鉢の水を変えるように地球を一気にきれいにすることはできません。

地球を汚し続けてきた人間の一人である私たちが今見なければならないのは小さなことです。

言い換えると身の回りのこと、今自分にできることです。

シャワーの水を出しっぱなしにしない。

冷蔵庫を開けっぱなしにしない。

ずっとスマホを触り続けている人がたくさんいますが、その充電のために使われる電気消費量はびっくりするくらい多いのです。

そうしたことに一人ひとりが自覚を持てば、一人ひとりの小さなことの積み重ねが水や電気の消費量を減らすことになります。

それが、地球が悲鳴をあげる一番大きな原因になっている二酸化炭素の排出を抑えることにつながるのです。

そういう小さなものに目をむける、大切にするとの感覚を持った一人ひとりになることがたくさんの過ちや罪を犯しながらも、イエス・キリストの十字架によって救われて生きている私たちに求められているのです。

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