礼拝の話

2024/02/05 

1月25日(木) 聖書 ヨハネによる福音書 9章1~3節 英語科 畠中

中3の英語の教科書に、世界各地に赴いて子供たちに折り紙を教え、折り紙大使と呼ばれていた加瀬三郎さんの物語があります。

加瀬さんは東京の下町に生まれましたが、生まれつき視力に異常があり、10歳の時には両目が見えなくなりましたが、多くの困難がありながらもマッサージ師となって店を持ち仕事に励む日々の中で、29歳になった加瀬さんは仕事以外に何か趣味を持ちたいと思うようになり、折り紙に出会ったといいます。

加瀬さんの折り紙の技術は次第に向上し、50歳を過ぎた頃に「下町の折り紙名人」としてテレビ番組で紹介され、それを見ていたのが、報道カメラマンの田島栄次さんでした。

日本で暮らすベトナム難民を取材していた田島さんは、難民の子供たちに何か楽しいことを体験させてあげたいと考え、すぐにテレビ局に電話し加瀬さんと連絡を取り、加瀬さんにベトナム難民の子供たちに折り紙を教えてほしいと頼んだのでした。

田島さんから依頼を受けた加瀬さんは「目が見えないというだけの自分よりももっと大変な思いをしてきたお子さんたちのために自分が何かできるならこんなに嬉しいことはありません」と言って快く引き受けました。

これをきっかけに加瀬さんは、折り紙を通じて言葉や国境を越えた交流をしていきたいと思うようになり、田島さんと二人で、世界の人々と交流する旅を始めたのでした。

加瀬さんと田島さんが訪れた国は49か国にものぼりましたが、加瀬さんから折り紙を教わる子供たちの中には、祖国を失った難民や戦争で親を失った孤児や障がい者、貧困で教育を受けられず働かなければならない子どもたちが大勢いました。

戦争や内乱による政情不安や混乱、差別や貧困といった問題を抱えている国々や今まさに戦争が起きていて人々が常に命の危機にさらされている国々など、どの国にもそれぞれに大変な事情がありましたが、全ての国で共通することは、一番深刻な影響を受けて傷つくのは子供たちだということを、加瀬さんの活動は物語っていました。

加瀬さんはそうした国々を積極的に訪れ、子供たちに寄り添い、折り紙を教えて子供たちを笑顔にしていました。

2003年、76歳の加瀬さんはイスラエルに行き、5年後の2008年に81歳で亡くなりましたが、もし今生きておられて、イスラエルとパレスチナの民族の間に再び戦争が起き、連日激しい爆撃が繰り返されていると知ったら、どんなにか心を痛めたことでしょう。

加瀬さんの、目が不自由だという障害を抱えながらも前向きに努力し、自分の辛さよりも、様々な困難や苦しみを抱える他の人々に寄り添い励まし続けた姿は、私たちに多くのことを気づかせてくれます。

その中でも私が特に強く心を揺さぶられたのは、私たち人間の幸せとは人間の想像をはるかに超えたところに用意されているということです。

私たち一人ひとりが必ずいただく神さまからの賜物は、人間の目から見れば、それは時には到底賜物とは見えず、むしろ不幸をもたらすものに見えるかもしれませんが、そこには確かに神さまの深い愛と祝福があるのだということを、いつも忘れずに日々感謝して生きていきたいと思います。

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