清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2024/01/19
新しいというのはそれだけで何かウキウキする、うれしくなるものです。
2024年がぜひそうした年になってほしいと思いましたが、それを根底からひっくり返す災害が1月1日の夕方に起こりました。
令和6年能登半島地震です。
最大震度7の地震によって、昨日の時点で168人が亡くなり、300人以上の人たちが今も行方不明です。
被災者への救援物資もなかなか届かないなど深刻な状況が続いています。
世界の情勢も、ウクライナやパレスチナのガザなどの戦争や紛争によって、多くの人の命がどんどん奪われています。
世界と日本を巻き込む大規模な戦争がいつ起こるかわからない状況になっているといわれます。
こうした問題をテーマした討論番組がYouTubeにありました。
それを見た後、画面に他の番組の照会画面が出てきました。
その1つに漫才コンビのウーマンラッシュアワーがありました。
ウーマンラッシュアワーの持ちネタに「ようこそ○○へ」というのがあります。
話のつかみは出身地の福井県大飯町の話題から始まります。
「福井県には何がある。原発がある。福井県大飯町には大飯原発がある。隣の高浜町には高浜原発がある。隣の美浜町には美浜原発がある。隣の敦賀にはもんじゅがある。ちいさな地域に原発がたくさんある。しかし大飯町は夜7時になると真っ暗になる。電気はどこへ行く…」。
こういう展開で地震のあった熊本、宮城県、そして東京がネタにされていきます。
「ようこそ○○へ」のネタに共通しているのは、関心を持つことの大切さです。
苦しんでいる人の痛みや悲しみを分け合うこと、シェアすることの大切さです。
聖書の今日は「5000人に食べ物を与える」という見出しがついています。
イエスの話を聴こうと大勢の人たちが集まってきていました。
その人たちのほとんどは、しんどさを抱えながら生きてきた人たちです。
この話の結論は20~21節に書かれています。
いわゆる奇跡が起こったのです。
奇跡というと何か不思議な現象が起こることです。
それではこの箇所で何が起こったのでしょうか。
イエスの話を聴くために集まった人たちが何も持たずについてきたとは考えられません。
遅くなることを考えて多少の食べ物を用意していた人もいたはずです。
その彼らが、イエスの祈りを聴く中で、自分の持っているものを差し出すことにした、そこにいる人たちと分けあうことにした、シェアしようとした、としても何の不思議もありません。
自分のものを独り占めするより、シェアをした方がはるかに豊かになれる、幸せになれると考えられるようになったのです。
その人の痛みや悲しみをシェアする、それを別の言葉にすると愛する、です。
ズバリ隣人を自分のように愛する、です。
愛するとは、相手の痛みや悲しみを自分のこととして受けとめるところから生まれるものです。
今この時代に平和を願い豊かでありたいと願う私たちに、逆に求められることがあります。
戦争がいやだと考えるなら、そして自分のこと、そして愛する家族などを大切にしたいなら、今自分が持っている豊かさを自分だけのものするのではなく、違う立場の人、悲しみの中にある人、今まさにこの時のことでいうなら、大きな地震で被災をした人とその痛みや悲しみをシェアする生き方を毎日の学校生活の中でしっかり考え自覚することです。
イエスは「5000人に食べ物を与える」話を通して、私たちにそれを求めておられるのです。
その求めにしっかり応える自分でありたい、なりたいとの気持ちを強く持ちながら2024年を生きていきたいと願います。