礼拝の話

2022/10/20 

10月17日(月) 聖書 ルカによる福音書 1章37~38節 校長 小西二巳夫

オリガ・グレベンニグという絵本作家・イラストレーターがいます。

オリガさんの描く絵や挿絵はたいへんカラフルということでよく知られています。

そのオリガさんがある日、日記を書き始めます。

鉛筆で描いた黒とグレーと白のモノクロ、日記のタイトルは「戦争日記」です。

日記を書き始めたのは今年の2月24日、ロシアがウクライナに侵略を始めた日です。

今自分たちに起こっていることを記録にすると共に、戦争に反対する気持ちを日記に込めることにしたのです。

「戦争日記」の書き出しは次の言葉で始まります。

「明け方5時30分、爆撃音で目が覚めた。何かしなければと思い荷物をまとめる。神さま、私たちをお守りください」。

ロシアの攻撃が始まって1週間たった時、オリガさんは2人の子どもを連れてウクライナから国外に逃げるという決断をします。

この決断は家族がバラバラになること、さらに自分が生きてきた35年間をすべて捨てるということなのです。

それらを捨ててまで守ろうとしたのは、子どもたちの命であり心でした。

わが子の心を壊さないためには、何としてでもウクライナから脱出しなければならないと考えたのです。

オリガさんは子どもの心が戦争によって壊れていくと感じたのです。

すべては、子どもの命を守り、心を壊さないためでした。

3月6日にオリガさんと2人の子どもは、バスと列車を乗り継いで隣の国、ポーランドに脱出し、日記には「私たちが地獄から脱出できたのは奇跡だ」と書かれています。

そして今はブルガリアという国で生活をしています。

オリガさんの決断は今朝の聖書の箇所のマリアと重なります。

「恵まれた方、あなたは身ごもって神の子を産む、イエスと名づけなさい」という天使の知らせを聞き、沈黙の後、マリアは「お言葉通り、この身になりますように」と答えました。

マリアに厳しい現実を受け入れさせたのは、ただ一つ「子どものために」でした。

マリアとオリガさんの決断が子どもの命を救うだけでなく、多くの人に希望をもたらすことになりました。

ウクライナに残った、オリガさんの夫や父母そして祖父母は、小さな子どもたちが安全に暮らせることにホッとし、我が子、孫、ひ孫にもう一度会いたい、そのためには何としてでも生き延びようとの新たな気持ちになったはずです。

マリアの決断は、それを聖書で知った私たちを含む多くの人に、生きる希望を与えてくれています。

神は今「子どものために」との決断が、人間の間に戦争を防ぎ、平和を求める力になることに、多くの人が気づくことを願っておられるはずです。

神の願いに応える生き方と決断を持つ自分でありたいと心から願います。

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