礼拝の話

2021/10/08 

10月8日(金)聖書 ヨハネによる福音書 1章1~5節 家庭科 青柳

「ㇾ・ミゼラブル」の作家、ヴィクトル=ユーゴ―が送った世界一短い手紙があります。

その手紙には、たった一文字「?(はてなマーク)」が書かれていました。

彼から手紙を受け取った出版社の担当者は、すぐに返事を書きました。

その返信の手紙にはこれもたった一文字「!(びっくりマーク)」が書かれていました。

第三者から見ると、このたった一文字での手紙のやり取りにどのような思いが込められていて、何を伝えたいのかは理解することが出来ません。

しかし、彼らは、この世界一短い、たった一文字の手紙のやり取りの中で、相手の想いや伝えたいことを読み取り、表現しています。

もしも今、ヴィクトル=ユーゴ―から私たちにいきなり「?(はてなマーク)」しか書かれていない手紙が送られてきても、私たちには到底その意味を理解することはできません。

それは、相手との信頼関係がそこにはないからです。

この手紙のやり取りが成立したのは、そこに何十年という長い時間積み重ねてきた、お互いの信頼関係があったからです。

苦楽を共にし、本の出版と言うお互いの共通の目的を持っていたからこそ成り立つやり取りです。

150年以上昔のこの時代は、電話や携帯もなく、手紙だって次の日にすぐに届くわけでもありません。

自分の送った手紙の意味が分からず、相手から「どういう意味ですか?」などの返信が来たら2度手間になってしまいます。

それでも、ヴィクトル=ユーゴ―は担当者なら必ずこの一文字で分かってくれるとの確信をもってこの手紙を送ったのです。

私たちは、日々言葉を使ってコミュニケーションをとっています。

最近では、携帯電話やスマートフォンの普及により、相手にすぐにメッセージを送ることが出来ます。

その簡単さから、スピードばかりが重視され、相手に伝わる言葉を選ぶという作業がどんどんおろそかになっているように感じます。

私自身もたった数文字のメッセージを送り、相手に伝わるだろうと思って短い文で送ったものが、相手が違う解釈をしていたことも沢山あります。

長い時間一緒にいる家族とのやり取りでさえそのようなことが起こってしまいます。

皆さんは、今、この清和で多くの人と出会い人間関係を構築しています。

ヴィクトル=ユーゴーと担当者のような信頼関係を築くためには長い年月がかかるかもしれません。

私たちは、互いに言葉を交わし、その信頼関係を築いていきます。

短い言葉で理解し合えるようになるには、そこに至るまでに膨大な多くの言葉を使って信頼関係を築いていかなければなりません。

今日の聖書箇所には、「万物は言葉によって成った。成ったもので言葉によらず成った物は何一つとしてなかった。」とあります。

そしてこのように続きます。「言葉のうちに命があった。命は人間を照らす光であった」。

私たちが日々使っている言葉には大きな力があり、その言葉には命があります。

私たちが日ごろ何気なく使っている言葉は、実はとても重く、何より輝くものなのです。

そのような、お互いを照らし合う言葉を紡いで、少しずつ信頼関係を築いていきたいと、世界一短い手紙を通して教えてもらった気がします。

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