清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2020/02/27
アニメ映画「風の谷のナウシカ」は1984年に上映されましたが、今でも古さは全く感じません。
漫画の「風の谷のナウシカ」は第7巻まであり、59の話が書かれています。
普通は原作の漫画があって、それの人気が出て映画になりますが、この作品は逆でした。
アニメ映画を作りたかったので、そのための原作として漫画が描かれたのです。
最近「風の谷のナウシカ」が尾上菊之助さんによって歌舞伎になったと話題になりました。
「風の谷のナウシカ」の作者の宮崎駿さんは自分の作品を他の人が演劇やミュージカルにすることをほぼ全て断ってきたので、なぜ今回は歌舞伎にすることを承諾したのだろうと驚きました。
尾上さんは漫画の第7巻までを昼夜通しの公演でやりたいと申し出たそうです。
この申し出だけでは宮崎さんも納得しなかったとは思うのですが、宮崎さんが承諾したのは、尾上さんがこの作品を深く理解していたからでした。
宮崎さんが「風の谷のナウシカ」を通して訴えているのは対話の大切さです。
人間と人間の対話、そして人間と自然の対話です。
この作品が作られた1980年代に、悪い意味で世の中が今のような状況になることを、ほとんどの人はわかっていませんでした。
時代の進歩と共に、本当なら人間は賢くなり、豊かに暮らせているはずですが、現実は多くの人が貧しさのために苦しんでいます。
温暖化などによって環境破壊がものすごい勢いで進み、インターネットなどで便利になった反面、人間の間には不信感が広がっています。
多くの人が生きづらい世の中になっています。
宮崎さんはその一番の原因は、お互いが対話しなくなるからだと考えました。
それを何とかしたいと考えるきっかけとして風の谷のナウシカを描いたのです。
「風の谷のナウシカ」は40年前に自然環境の破壊などによって、人間が危機的な状況に追い込まれつつある今の時代が見事に描かれています。
そして、そこにもし希望があるとしたら、人と人の対話、人と自然の対話を取り戻すことだといいます。
はっきりさせたいのは、対話と会話は違うということです。
会話は別のことを考えていたり、相槌を適当にうっていたりしても成り立ちます。
しかし、対話はそうはいきません。
相手がその言葉で何が言いたいのか、しっかり聞いて考えなければなりません。
わからなければ聞きなおしたり、確かめたりしなければなりません。
そして、自分も何を伝えたいのか考えて話さなければなりません。
会話によって信頼関係は生まれませんが、対話は信頼関係を生み出すのです。
宮崎さんは「風の谷のナウシカ」を通して対話することを求めました。
それよりはるか2000年以上前に対話の大切さを訴えたのがイエス様です。
イエス様は当時の人々に対して、そして今を生きる私たちに、神と対話することを求められました。
天の国に入るためには、つまりいきいきと幸せに生きるためには、どうしたらよいかを話されました。
今日の箇所で、子どものように素直になってどうすればいいのかを、神が何を言われているかを聞くこと、つまり対話することだといわれました。
私たちの間に対話を作り出す、その気持ちと姿勢を忘れず過ごしたいと願います。