礼拝の話

2020/02/05 

2月3日(月)聖書 使徒言行録 14章1~3節 校長 小西二巳夫

今から30年前に小学校6年生の国語の教科書に載せるために「21世紀に生きる君たちへ」という文章を書いた作家がいます。

司馬遼太郎という人で、彼が子供に向けて初めて書いたものとして話題になりました。

その6年後に司馬さんは亡くなったので、この「21世紀を生きる君たちへ」は若い人たちへの遺言ともいえます。

司馬さんは本を通して歴史上の人物を知り、それらの人々に慰められたり、励まされたりすることがよくあるというのです。

今、21世紀になって20年が経ちました。

司馬さんは「人間は、自分で生きているのではなく、大きな存在によって、生かされている」といいます。

これは聖書が、人間はどのように生きたらいいかを考える時に、一番基本にしていることと同じです。

その考えを大切に21世紀が始まるとしたら、それはとてもよい世紀になっていると司馬さんは書きましたが、残念ながら21世紀は今のところ、司馬さんが期待したような時代にはなっていません。

むしろ、人間の思い上がりがもっとひどくなっているようにも見えます。

地球規模の温暖化によって、自然のサイクルが狂い始めたり、大規模な自然災害が頻発したりしています。

また貧富の格差もますます広がりを見せています。

こうしたことになってしまった根本的な原因は人間にあります。

司馬さんは賢い人でした。

人間の歴史についてよく知っている人でした。

こうなることをよくわかって、警告するために、ただ批判し叱るのではなく、こうしたらいいよと積極的な呼びかけをしたのだと思います。

人間として大切なものを取り戻すように呼び掛けているのだと思います。

インターネットの普及により、世界中はあっという間につながり便利になり、たくさんのものを得ましたが、同時に大切なものを奪われ、失っています。

人間関係が希薄になり、信頼関係も簡単に壊れるようになりました。

その私たちに司馬さんは、自己を確立させなさいと呼びかけます。

自分に厳しく、相手にやさしく、そして素直な自分を確立させることから、すべてがやり直せるといいます。

この考え方をはるか昔から今に至るまで言い続けているのがイエスです。

自分に厳しく、相手にやさしく、これをイエスは「主なる神を愛し、隣人を自分のように愛しなさい」という言葉で表現されました。

そういう自分になることを目指すなら今からでも21世紀はみんなが仲良く暮らせる時代になるに違いないという、司馬さんとイエスの呼びかけに真剣に聞く自分でありたいと願います。

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