清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2021/05/10
私は小さい頃からたくさんの絵本を読んできました。
絵本は、小さい子どもでもその内容がわかるように、易しい言葉で書かれているものが多いのですが、その内容はみなさんのような中高生や大人が読んでも十分に考えさせられるものが多いと思います。
人は、言葉を覚える中で、考え方や人への伝え方を学びます。
最初は泣いて自分の感情や状況を伝えることしかできなかった赤ちゃんが、言葉を身につけることで、自分の状態を周囲に伝えることができるようになり、必要な助けを得たり、必要な知識を身につけたりしていきます。
そして、生活そのものから身につけたものの幅を広げていくものが本との出会いです。
読書とは、自分の世界を広げる大切なものだということです。
自分の目の前の見える物だけに世界があるのではなく、目に見えないところにも広い世界が広がっていること、スマホなどで自分の都合のよい情報だけではなく、本当に考え続けなければいけない世界の課題を知ることも、本などの書かれたものを通して知ることができます。
私たちは日々、目まぐるしく変わる世界の中で過ごしています。
物事が目まぐるしく変わる今だからこそ、想像力、イメージする力が必要なのだと思います。
いろいろな出来事を通して、イメージしたり、そのことから次の考えを広げて行ったりすることは人間だからできることです。
機械ではない私たちは、日々多くの悩みやうまくいかない出来事にぶつかります。
くじけそうになったり、もう嫌だと投げ出しそうなったりすることがあります。
でも、また新しい1日を歩むために、どうにかそのもやもやした思いをこのチャペルにおいたり、その他のことに目をむけたりして一歩を踏み出します。
私の好きな絵本「わたしのワンピース」は白い布を手にした“わたし”、うさぎちゃんが、この布をワンピースにしていろいろなところにいきます。
ワンピースを着たうさぎちゃんが、お花畑やお星さま、その他いろいろな場所を通っていく中で、ワンピースがいろいろな柄に変化していくお話です。
私たちもいろいろな場所から影響を受けたり、考え方を学んだり、知識を増やしたりして生活していきます。
今はある1つの柄の私かもしれません。
でも、ここでの出会い、学び、その他いろいろな出来事を通じて、いろいろな私に変わって行くこともできるでしょう。
これから出会う人たちとどんな世界を築くことができるのかは、私たちがどんな世界をイメージするかにかかっているのかもしれないと言っても過言ではないかもしれません。
世界には絵本に触れたことがない子どもが多くいる現実があります。
カンボジアの難民キャンプで、ある少女が「お菓子よりも絵本のほうがいい。お菓子はすぐになくなるけれど、絵本は何度も楽しめるから」と言ったそうです。
ぜひ、多くの子どもたちがつらい現実の中から希望を生み出せるように、ここにいる私たちが想像力を膨らませて、できることを1つずつ考えていきたいと思います。