礼拝の話

2023/05/10 

5月8日(月) 聖書 マタイによる福音書 5章13節 校長 小西二巳夫

今日の聖書は「あなたがたは地の塩である」という言葉から始まっています。

あなたがたというのは、イエスの話が聞きたくて集まってきた人たちです。

その人たちの多くは、当時人としての存在が認められていませんでした。

イエスはその人たち向かっての「あなたがたは地の塩である」と言ったのです。

イエスの時代の人にとって塩は大変貴重なものでした。

イエスは集まった人たちを貴重な塩に例え、社会、世界になくてはならない存在だと言われたのです。

ただイエスは「あなたがたは地の塩である」との言葉と同時に、注文も付けました。

何を忘れてはいけないのか、何に気をつけて生きるのかについて、大変厳しい言葉で注意されました。

そこで考えたいのは、そもそも塩とは何か、どのような性質を持っているのかです。

塩はナトリウムと塩素という元素による化合物です。

ナトリウムと塩素はそれぞれ危ない性質を持った元素ですが、危ない性質を持った元素同士が組み合わさると化学反応が起き、なぜか、お互いが相手を安定させるのです。

それによって生まれた化合物である塩化ナトリウムは爆発もせず毒でもなくなります。

それどころか、なくてはならない存在になるのです。

ただし大切なものほど、貴重なものほど、弱点も持っています。

塩は油断をするとすぐに本質を失ってしまうのです。

その代表、塩を何の役にも立たない物質に溶かしてしまうのが潮解作用です。

当時の人々は毎日の生活の中で貴重な塩の弱点をよく知っていたはずですから、イエスが自分たちを塩に例えた時、自分が何を守ればいいのかすぐにわかったのです。

どのような生き方をすればいいのか、イメージが湧いたはずです。

しかし、塩が貴重なものという実感をあまり持たない私たちは、塩に例えられる自分がどのような生き方をすればいいのか、すぐにピンときません。

私たちは何をしてはいけないのかを考える必要があります。

そのためにさまざまなことを学ぶのです。

人間を本質からダメにしてしまう物や誘惑が私たちの周りにはたくさんあるのです。

その1つに潮解という言葉にピッタリ合うものがあります。

多くの人が片時も手放せなくなっているスマホです。

スマホは手のひらサイズのコンピュータですから大変便利ですが、使い過ぎによって頭の中が「スマホ脳」という状態になることが知られています。

調査によると10代の人の20%がスマホを1日7時間使っているとのことです。

脳科学者がその時間はまさに脳が溶けていく時間だと言いました。

スマホの使い過ぎや手放せないことによって、塩の本質を失くしダメにする潮解作用が人間の体の中、頭の中で起きているのです。

スマホ脳という潮解作用が人間から奪っていくのは、学習効果、記憶力、集中力、何をしても楽しく思えない感覚などです。

生きていく上で自分の中になくてはならないものが、便利で手放せない存在になっているスマホにどんどん奪われていっているのです。

私はイエスが「あなたがたは地の塩である」との言葉で、自分を潮解させダメな存在にする大きな力を持ったスマホに頼らない生活を目指しなさいと呼びかけられていると思えてなりません。

イエスのこの呼びかけにしっかり応えられる一人ひとりでありたいものです。

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