礼拝の話

2022/06/14 

6月14日(火) 聖書 詩編 69編14節 音楽科 三浦

中学生の合同の授業で『屋根の上のヴァイオリン弾き』という映画を観ました。

舞台はウクライナ。

熱心なユダヤ教徒のテヴィエ家族とその周りの人々の出来事で物語は進んでいきます。テヴィエは7人家族のお父さん、熱心なユダヤ教徒で神さまのへのお祈りも熱心です。

そして、自分たちの先祖から受け継いでいる伝統、ユダヤのしきたりも重んじています。生活習慣、友人関係、娘たちの将来について、すべてユダヤの伝統を中心にお父さんのテヴィエは考えていきますが、思ったように話は進みません。

長女も次女も、勝手に結婚相手はこの人がいい、と許しを求めてきます。三女も姉たち同様にテヴィエに結婚の許可を求めますが、今回ばかりはテヴィエは猛反対します。今回ばかりはもう許すことはできない、と三女に冷たく当たります。

そのような中、村の情勢は悪化していき、ついにユダヤ人の強制退去の命令が下されます。テヴィエが幼いころから一緒に過ごし、気心が知れているロシア人の警察署長は3日以内に全ての荷物をまとめて村から出ていくように言います。ここは抵抗するべきだ、自分たちの土地を守ろう、と声を上げる者もいますが、ラビの一言でみなが荷物をまとめる決心をします。

「今から荷物をまとめるのです。ここから次の土地に行くのです」。村人たちは次々に準備をして村を離れていきます。三女たちがテヴィエに別れの挨拶に来ますが、テヴィエは返事をしようとしません。妹の悲しげな後ろ姿にお姉さんは気持ちを抑えられずに「元気で」と2人の後ろ姿に声をかけると、横でテヴィエがボソッといいます。

「神のご加護があるように…」

それを聞いたお姉さんはとても嬉しそうな顔をして、大きな声で「神さまのご加護があるように!!」と叫びます。家財道具を積み込み、村を離れようとするテヴィエの背中に、ヴァイオリン弾きが奏でる悲しくも美しい曲が流れます。この最後の場面に、テヴィエのすべてが表れているように思います。

彼は家族をこよなく愛していました。ユダヤのしきたり、伝統の中で自分たちのアイデンティティを守ろうとしている部分と、新しい時代を生きていく娘たちに幸せになってもらいとの思いが各所に現れます。この物語の背景となっているユダヤ社会は長い苦難の歴史を歩んできました。古い古い時代から迫害を受け、自分たちの土地を奪われ、自分たちの知識と知恵で生き抜いてきた民族でもあります。

自分たちの伝統を守ることが自分たちの未来を守ることであることも十分に理解していました。その中で、土地よりも人、命を大切にすることを一番に生き抜いてきました。

今、ウクライナとロシアの戦争を前に、私たちは一人ひとりに与えられた命を十分に生きることを求められているように思います。今自分が考えていること、今自分ができることの先に、私たちの未来があります。命を活かすためには、考え続けなければなりません。

テヴィエ家族が、またユダヤの人々が命をつないでいったように、私たち一人ひとりもこの地球に生きる一人として命をつなぐことの意味を考えていかなければなりません。そして、今は何よりも一番に、ウクライナとロシアの戦争が終わるようにと願うばかりです。

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