清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2021/07/09
「3人のレンガ職人」というイソップ寓話があります。
寓話とは、教訓を含んだ物語のことです。
内容は、世界中を回っている旅人が、3人のレンガを積み上げている人に出会う話です。
旅人はそれぞれに「ここで一体何をしているのですか」と尋ねます。
1人目は「レンガ積みに決まっているだろう。朝から晩までなんでこんなことばかりしなければならないのか。まったくついていないね。もっと気楽にやっているやつらがいるというのに」と答えました。
2人目は「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるのさ。大変なんて言ったら罰が当たるよ」と。
3人目は「俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を作っているんだ。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみをぬぐうんだ。素晴らしいだろう」と答えました。
これが3人のレンガ職人のお話です。
このお話は、仕事や学校などの置かれた場所に対する意識の違いを表していると思います。
1人目は、目的もなく自分の置かれた環境に不平不満を抱きながら働き、目的も目標もなく「やらされている」という気持ちを強く感じます。
2人目の男は、レンガ積みで家族を養うことができると喜んで働いていますが、目的は「家族を養う」というものであり、仕事に対してではありません。
3人目の男は、歴史に残る大聖堂をつくることに関わっていると自覚し、人のため、未来のためになる仕事として「誇り」をもってレンガ積みをしています。
この話には続きがあります。
10年後のお話です。
1人目は、10年前と同じ文句を言いながらレンガを積んでいました。
2人目は、レンガ積みよりお金の良い仕事に就きましたが、危険を伴う教会の屋根の上での仕事をしていました。
3人目は、建築現場の責任者として多くの職人を育て、出来上がった大聖堂には彼の名前が付けられました。
中高生時代というのは長い人生の中のほんの一部ですが、それは、確実に皆さんの将来につながる6年間、3年間です。
私たちに与えられている環境の中に、どのような意味を見出し、目標をもって取り組んでいくかということが大切なのだと思います。
その中には苦しいこと、大変なこと、こんなつもりじゃなかったと思うこと、自分の思い通りにならないこともあるでしょう。
そのような出来事も与えられたものの1つとして、その出来事や環境をどのように捉えるかで物事の見え方は変わってくるのかもしれません。