礼拝の話

2021/09/14 

9月14日(火)聖書 箴言 24章13~14節(旧p.1022) 音楽科 三浦

レイ・ブラッドベリというアメリカ人作家の「華氏451度」という小説があります。

1953年に書かれたその作品は、今21世紀そのものを予見していたのではないかと思うほどでした。

1950年代というと、もう70年も前の話になります。

当時は1945年の日本の敗戦をもって、新しい時代へと踏み出し始めた頃です。

アメリカは戦勝国ですから、人々は意気揚々と新しい世界を思い描いたことでしょう。

そのような中で、自分で考えることをせずに、心地よいものだけで過ごす現実がどれほど恐ろしい結末を迎えるか、想像して書かれたものが、この「華氏451度」だったように思います。

物語の後半で戦争が起こります。

しかし、その戦争は一瞬で終わったと書かれています。

まさに、2021年、今の現実そのものでしょう。

ブラッドベリの想像を超えた、無人機からの爆撃、遠隔操作での襲撃は現実のものとなっています。

人は平和に生きるために生きているはずです。

しかし、そうではない現実があります。

力で力を抑えようとする対抗の中で、傷つき、命を脅かされ、失うのは弱い立場の人々です。

今、それぞれ大変な中を生きている私たちですが、少なくとも、頭の上を戦闘機が飛んだり、物陰から銃で撃たれたりする心配をして過ごすことはありません。

私たちにできることはなんなのでしょうか。

それは、考えること、知ること、知らない事実を知ろうとする心を持つことです。

わからないことを調べ、新しい知識を得、いろいろなことを考える力です。

過去を知ることは、今を生きる私たちにとって大切なことです。

過去から学ばないものは、未来をつくることはできないのだと思います。

特に中高生という、これからの人生を作る大切な時を過ごす一人ひとりには、たくさんの本を読み、たくさんの物事に触れ、その考えを深めていってもらいたいと思います。

強さだけを追い求める世界の先にあるのは、なんでしょうか。

痛みが悲しみを呼び、さらには憎しみに変わる世界の連鎖は止めなければなりません。

憎しみの先に希望を見いだすことは難しいでしょう。

どうあっても、かすかにでも希望を見いだすことができる世界にするためには、わずかでも私たち自身が考えることをやめない生き方をすることが必要なのだと思います。

高知県へのまん延防止等重点措置は解除されましたが、私たちの感染症への向き合い方は変わりません。

自分を大切に守ることが、自分が大切にしている人たちを守ることにつながります。

一人ひとりがきちんと考えて、今週も過ごしていきましょう。

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