清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2023/06/01
5月6日、7日の2日間、友人が経営しているコーヒー屋さんのお手伝いにいってきました。
オーナーの今井英里さんは青年海外協力隊として中米にあるホンジュラスで活動をしていましたが、現地でコーヒーの美味しさに魅了され、信頼できるコーヒー農家さんと出会い、13000kmの壁を越えて今、コーヒー屋さんを経営しています。
コロナのために現地に行くことが適わない時を過ごしてきましたが、この5月、再オープンを手伝うためにホンジュラスから3人の生産者が日本に駆けつけてくれました。
飛行機は乗り継ぎの時間を含めて約30時間、まさに地球の裏側からです。
夜ごはんの時間になり、全員がそろったのを見て今井さんが言いました。
「さあ、ご飯を食べる前にお祈りをしましょう!」
すると生産者の一人がお祈りを始めました。
他のみんなは手を組んで目を閉じています。
清和で過ごす日々と同じ光景が、目の前にあり「アーメン」という言葉で祈りを終えました。
初めて会った、わからない言葉を話す別の国の人が私の知っている言葉を一緒に唱える。
住んでいる国も違う、話す言葉も違う、信仰する宗教もみんなそれぞれ違うけれど、同じ食卓で、遠い誰かを思って祈ることができる。
祈ることで、遠い存在だった人たちが、近い存在になり「隣人」となる。
13000km離れたホンジュラスに住む人たちが、まさにこの瞬間、私にとって、私たちにとって、愛すべき「隣人」なのだと実感しました。
一人の生産者は、コーヒー豆を買ってくれたお客さんにこう言いました。
「遠い国で作った一粒のコーヒー豆が、海を越えて、巡り巡って、遠い国のあなたの幸せになっている。その幸せな気持ちは、また海を越えて、巡って、僕たちの幸せになると思う」。
目には見えないけれど「祈り」も、このコーヒー豆のようなものなのかも、と思いました。
顔も知らない、会ったこともない、そんな人のために一粒、一粒丹精を込めて作る。
祈りもまた、時には会ったことのない人の幸せを、訪れたことのない国の平和を願う。
一粒のコーヒー豆が誰かの幸せの一杯につながるように、私たちの祈りもまた、誰かの幸せにつながっている。
祈りによって、私たちは会ったことのない、話したこともない人たちと「隣人」になることができる。
イエス・キリストが絶えず祈りなさいと言った理由が、実感として私の中に落ちてきました。
私たちは、朝の礼拝で、帰りの礼拝で、日々お祈りをします。
ありふれたことへの感謝を大切に、そして「隣人」のために、今日も心を込めてお祈りをしましょう。