礼拝の話

2024/04/19 

4月15日(月) キリスト教教育週間① 聖書 創世記 2章4~7節/コリントの信徒への手紙Ⅱ 4章18節 校長 小西二巳夫

ボブ・ディランというアメリカのミュージシャンが、8年前にノーベル文学賞を受賞しました。

ボブ・ディランは自分の曲の歌詞は自分で書くというシンガーソングライターです。

その彼がノーベル文学賞をもらったということは、彼の作ったたくさんの曲の歌詞に文学的価値があるということです。

その代表的な曲の1つが60年前にだした「Blowin’ in The Wind」です。

1950年代から60年代にかけてアメリカでは「公民権運動」が盛んでした。

当時、アメリカでは黒人などの少数者の基本的人権は保障されていませんでした。

人種の違い等の間にある多くの差別をなくすための活動が公民権運動でした。

さらに当時、アメリカはベトナムで後に「ベトナム戦争」と呼ばれる戦争を続けていました。

その時代にボブ・ディランは「Blowin’ in The Wind」を作ったのです。

それを前提に歌詞を読むと、歌詞の意味が明らかになってきます。

上から順番に8行ごとに1番、2番、3番になります。

それぞれHow many~?どのくらい…という質問が3つ続きます。

その答えが、The answer is blowin’ in The Wind という最後の2行です。

そのまま訳すと、「答えは吹いている風の中にある」となります。

そこから曲のタイトルが「風に吹かれて」となったわけです。

しかし、答えは風の中にあると言われてもピンときません。

そこでカギになるのはWindの持っている意味です。

それが何かを先程の旧約聖書と新約聖書の言葉が教えてくれています。

息を吹き入れるのは主とありますが、この場合の主は神のことです。

息は目には見えませんが、手に吹きかけると、確かにあることがわかります。

「Blowin’ in The Wind」の風も見えなくてもあるのは確かです。

見えないもの、そして永遠に存続する、その代表が神です。

大文字のThe Windは神のことなのです。

そうすると「Blowin’ in The Wind」の3つの質問の、いつになったら人権が守られ、心静かに安心した生活ができ、多くの人の命を奪う戦争は終わるのか、の答えは「The answer is blowin’ in The Wind」吹いている風の中にある、ではなく、神だけが知っているとなります。

神だけが知っているというのは、私たちには人間にはわからないということです。

けれど、それは、私たちは考えなくていい、自分には関係ないことだと言うことではありません。

ボブ・ディランはそうした不幸な出来事に、自分では気がつかないが、自分も手を貸しているのではないか、協力しているのではないかと、自分自身に問う気持ちから、この曲を作ったのです。

私たちは恐ろしいものや見たくないものを見た時、顔を背けたくなります。

心をシャットアウトしがちです。

自分の顔に風があたったと感じた時、心の中にサッと風が吹いたように思えた時、神が私にあなたはそれでいいのかと、と問いかけていると、受けとめられる感覚を持つことができるようになったら、神から質問された時に、すぐに正しい答えを探すのではなく、自分のこととして静かに考えることが大切です。

そして、見えない神に答えるために一生懸命考えることを通して、私たちは風や空気と同じように見えないけれど確かにある、そして誰もが生きるために必要な希望、信頼、慰め、励ましなどに出会うことができるのです。

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