清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2022/01/19
1995年1月17日に阪神淡路大震災が起こりました。
その日から27年経ちました。
そこで今日は一人ひとりが心の中で黙祷することから始めたいと思います。
高知に住んでいるイラストレーター柴田ケイコさんの絵本に「めがねこ」があります。
「めがねこ」は森でメガネ屋さんを開いているねこの話です。
柴田さんが「めがねこ」を作ったのは、3歳児検診で弱視であることがわかった自分の子どものためでした。
弱視は発見が早ければ早いほど治療効果があるとのことでしたので、柴田さんは親として、なぜもっと早く気づいてやれなかったのかと悔いたのです。
小さな子どもが目の不自由さを補うためにメガネをかけるのは負担でしょう。
メガネをかけることで不便なことや不自由なこと、何よりメガネをかけることで周りからあれこれ言われたり、からかわれたりすることが起こるでしょう。
「心ない言葉」に傷つくというのは大いに考えられます。
「心ない言葉」とは、何の考えもなしに相手に言うことです。
心ない言葉で傷つくのは子どもに限ったことではありません。
日本のプロ野球の歴史上、最高のキャッチャーと言われるのが古田敦也さんですが、彼の現役の頃の愛称は「のび太くん」でした。
古田さんはドラえもんののび太くんによく似た大きなメガネをかけていました。
大学4年生のドラフト会議で当然指名されると周りも本人も信じて待っていましたが、ありませんでした。
理由は、メガネをかけたキャッチャーは一流になれないとのジンクスのせいでした。
それは単なる思い込みであって、何の証拠もありません。
でも、メガネをかけたキャッチャーはだめだと思い込んでいる人たちがいたのです。
古田さんがすごいのは、それでもメガネを外さなかったことです。
そして2年後、ヤクルトに入り、誰もが認める超一流の選手になりました。
でも、誰もが古田さんのような強い意志を持って自分の考えを貫くことはできません。
子どもならなおさらのことです。
柴田さんは、メガネのことで息子本人が自分を否定してほしくないと考えました。
逆に、メガネも自分の大切な個性、メガネをかけることがかっこいいと思ってもらえるような絵本を作ろうとしてできたのが、「めがねこ」でした。
小さな子どもたちが「めがねこ」を読んで、メガネってかっこいいなと思えるようになったら、それで十分でしょう。
でも「めがねこ」が小さな子どもではない私たちに求めることはもう一段上のことがあるように思います。
それは、物事を深く見ることのできるメガネをかけることです。
物事を深く見るメガネのことを聖書的に表現すると、今日の言葉になります。
見えないものを見る自分になるとの意識を持つことによって、つまり本当のこととは何だろうかと自分で考える習慣を身につけることによって、心ない言葉、何の考えもないにも関わらず相手を深く傷つけることになる言葉を言わないで済む自分に変えられていきます。
そして、誰かからの心ない言葉にあまり傷つかない自分になり、古田さんのように心ない言葉をバネにして、成長できる自分に変わる可能性が生まれるのです。