礼拝の話

2022/10/14 

10月11日(火) 聖書 エフェソの信徒への手紙 2章14~16節 校長 小西二巳夫

今から70年以上前にドイツの作家ケストナーは「動物会議」という本を書きました。

「動物会議」の書き出しは次の言葉で始まります。

「大ニュース ロンドン会議おわる-会議は失敗-やり直しと決定-場所はまだ決まらない」。

この会議は戦争をせずに平和になるための国際会議でしたが、国の代表が自分の主張ばかりしたために何も決まらなかったのです

このニュースに腹を立てたのがライオンのアイロスとゾウのオスカーとキリンのレオポルトでした。

彼らは一大決心をします。

自分たちも世界中の動物の代表に集まってもらい会議を開くことにしたのです。

動物会議のスローガンは「子どものために」でした。

動物会議の代表の白クマが、人間の国際会議のそれぞれの国の代表に訴えました。

「みなさんにお願いしたいことは、平和のために最も大きな障碍を飛び越えることです。その障碍とは国と国の境です。国境です。この垣根を取り除かなければなりません」。

しかし、国の代表たちは、あらゆる手を使ってこの訴えを突っぱねました。

そこで動物会議は最後の手段として、世界中の子どもたちをあちこちに隠したのです。

すべての子どもたちが目の前から消えた時、ようやく大人は気づきました。

自分たちが守るのは国境ではなく、子どもたちだということに気づいたのです。

国境を守ろう、広げようとすれば必ず争いが、戦争が起こり、多くのもが失われます。

真っ先に子どもが犠牲になるのです。

それからもう1つ、動物たちが大人に教えたことがあります。

国境は人と人を隔てる壁であり、大人が作り出したものに過ぎず、初めからあるものではないのです。

さらに国境があることを当たり前に考えることが、それぞれの心の中に相手との隔てという壁を作り出すことになるのです。

心の中に壁を作り出すことが、結局は自分をダメにする、自分が生きにくい状況を作り出し、平和を壊すことになるのです。

先週、宇宙飛行士の若田光一さんたち4人が乗った宇宙船がISS・国際宇宙ステーションに到着しました。

その宇宙からISSから見える地球には、当たり前にあると思っている国境、つまり国と国を分ける線などまったく見えないのです。

地球にはもともと国境という隔ての壁や線はないのです。

その人間が勝手に作り出した人と人を争わせる国境をなくすために、人と人を隔てる心、壁を取り払うために、平和を作り出すために、イエスが十字架にかかられたと、今日の聖書には書かれているのです。

宇宙飛行士の言葉を借りるなら、イエスはこの世界を国境のない、隔ての壁がない「特別な空間」にするために十字架に架かられたのです。

壁を作ることで、結局痛むことになるのは、そして傷つくのは自分であることをイエスはご自分が十字架に架かることによって証明されたのです。

このイエスの愛に真剣に応える自分でありたいものです。

学校生活の様子

学校生活|中学校一覧へ

学校生活|高校一覧へ

学校生活一覧へ

礼拝の話一覧へ

中学・高校 学年の通信から一覧へ

クラブ活動一覧へ

▲ページトップへ