礼拝の話

2021/11/24 

11月22日(月)人権ウィーク 聖書 ルカによる福音書 21章32節 社会科 山脇

先週、大リーグの年間MVPが発表され、アメリカンリーグのMVPに大谷翔平選手が満場一致で選ばれました。

大谷選手は、野球好きの人から見れば、考えられない選手、もっといえば「普通じゃない選手」です。

普通はピッチャーの人はピッチャー、野手の人は野手と決まっていますし、それが普通で当たり前なのですが、大谷選手はその常識を覆す活躍を見せました。

大谷選手が活躍したからといって、今までの普通・当たり前が変わるかといえば、これから先も、やはりピッチャーはピッチャー、野手は野手なのだと思うのです。

普通・当たり前と思っていることが変わっていくには、一人の力だけではできないということが大谷選手の活躍から分かります。

もし、それまでの普通・当たり前という感覚が変わるとすれば、多くの人がその新しい価値観や考え方に共感し、多くの人の行動が変わることで、新しい時代の普通・当たり前が生まれていくのでしょう。

長い歴史の中では、そのような変化は幾度となく起こりました。

長い時間をかけて今までの価値観に代わり、新しい普通、当たり前という価値観が広まった後も、様々な問題が解消していくには、同じくらい長い時間と想像を超える多くの人々の努力の積み重ねが必要です。

各地で起きている紛争や戦争の要因はいくつもあるのですが、もし世界の人々に「あなたは戦争に賛成しますか?」「あなたは戦争を肯定しますか?」という問いを投げかけることができたとすれば、多くの人は「反対する」「否定する」と答えるのではないかと思うのです。

つまり、戦争という事柄について、世界的なコンセンサス、多くの人の一致した意見は、戦争に反対し、また否定しているのだと思うのです。

それが世界的に普通で当たり前の認識といえるのかもしれませんが、それなのに紛争や戦争がなくならないのは、大多数の人々のコンセンサスを超えるものがあるからでしょう。

その普通や当たり前というコンセンサスを超えるものは、国の利益であったり、民族の利益であったり、軍事産業の利益であったりします。

その利益を守る、または増やすために、国や民族の間に対立が生れ、戦争や紛争が起こり、そのような中で人権問題も生まれてしまうのでしょう。

では、どんなに努力しても人権問題はなくならないのでしょうか。

そうではないことを今日の聖書は教えてくれています。

イエスは今日の聖書箇所で「わたしの言葉は決して滅びない」といわれています。

イエスは、当時の普通や当たり前といった考え方を覆し、本当の神の愛、神の教えを人々に伝えました。

イエスが語られた言葉は、当時のユダヤ社会、特に支配者たちには受け入れがたい言葉だったはずです。

イエスの活動は多くの迫害を生み、イエス自身も十字架に架けられたわけですが、それでも、イエスは「わたしの言葉は決して滅びない」といわれるのです。

聖書にあるイエスの言葉は、その後、長い時間をかけて多くの人に共感され、どんなに時代が変わっても、どんなに社会が変わっても、本当に大切な言葉として現在も生き続けています。

イエスは、私たちが生きていくうえで本当に大切なことは何かを語られました。

その言葉は、神の愛を信じ、自分を愛するように隣人を愛し、感謝して今日という日を過ごしていくという、とてもシンプルなものでした。

私たちが生きるこの現代社会では、それまでの普通、当たり前という感覚は少しずつ変わっていきますが、本当に大切なこと、本当に大事にしたい思いというのは、イエスが誕生された2000年以上前から、もっといえば、人類が文明を築いた時から何も変わっていないのかもしれません。

私たちは長い歴史の中で、本当に大切なこと、大事にしたい思いをどこか片隅に追いやり、自分の心の真ん中に欲やプライド、豊かさを置いてきたのかもしれません。

そのような欲やプライド、豊かさを争う心が、長い歴史の中で様々な人権問題を生み、もしくは残し、戦争や紛争を生んでいるのかもしれません。

そして同じくらい長い時間を使って、本当に大切なこと、大事にしたい思いは何かを、私たちは思い起こし、その時代の普通や当たり前という感覚を見つめ直しながら、現在まで歩んできたのかもしれません。

現代社会において、私たちの身の回りには様々な人権問題がありますが、どうせ変わらない、何をしても良くならない、という諦めの思いではなく、本当に大切なことは何か、大事にしたい思いは何かを考え、そのような問題に目を向けていくことが私たちに求められているのだと思います。

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