礼拝の話

2021/11/24 

11月24日(水)聖書 マタイによる福音書 5章38~42節 日本基督教団 土佐教会 高橋伸明伝道師

ローザ・パークス(Rosa Parks)という人、アメリカ・アラバマ州のモンゴメリーという町で起こった「バス・ボイコット運動」という黒人運動のきっかけを作ったことで有名な人がいます。

当時、アラバマ州には「人種隔離条例」という法令が定められていて、街中のあらゆる場所で黒人を差別することを規則で決めていました。

1955年12月1日、彼女は、あるバスの白人専用席のすぐ後ろの席に座っていました。

白人と黒人の席が明確に分けられていた、満席のバスに一人の白人の乗客が乗ってきたので、運転手はパークスさんに「席を譲って後ろに行け」と命令しましたが、彼女はこの命令を静かに断りました。

乗り合わせていた黒人たちの証言によれば、彼女は、静かに威厳に満ちた態度で断ったといいます。

しかし、この席を譲ることを断ったことによって、その日彼女は逮捕されました。

この逮捕の知らせを受けて、モンゴメリーの黒人たちはすぐに抗議団体を組織し、4日後にキング牧師を抗議団体の会長に選任し、この抗議団体は黒人は一切モンゴメリーのバスには乗らない、という「バス・ボイコット運動」を実行していきました。

この出来事がキング牧師が本格的に黒人公民権運動のリーダーへと押し出されて行きました。

今朝の聖書箇所には「復讐してはならない」「だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」と書いてあります。

「右の頬を打つ」ということは、右手の甲で相手の顔をはねのけるようにはたく、という仕草を表し、聖書が書かれた時代には、これはひどく相手のことを見下したり、馬鹿にしたりするときにこういう態度で示し、実際に相手の顔をはたかなくても、右手の甲で払うような仕草をするだけで、相手を侮辱することになったのだそうです。

当時、黒人は「右の頬を打たれる」ような侮辱を思い切り受けてきたわけですが、キング牧師のような反差別の運動家たちは、聖書の言葉通りに暴力に対して暴力で報復しない、非暴力的抵抗運動に徹したのだそうです。

そして、キング牧師のそのような働きのおかげで、アメリカにおける黒人の地位はずいぶん改善され、公に黒人を差別する法令などは、あきらかに合衆国憲法違反であるということは行き渡るようになりました。

私は世界を変えてゆくためには、こういう一人の人の勇気が必要なんだな、と思いました。

そして、そんな一人の勇気を一人のままに終わらせない仲間が存在していることも大切だと思いました。

今の私たちの周りの世界は、一人の勇気を一人のままに終わらせてしまうような冷たい、冷めた空気が支配しがちな世の中です。

しかし、勇気を持って一言を発し、一つの行動を起こしてゆく人を、決して見捨てないような、そういう空気を作ってゆける人間でありたいと思います。

小さな一人の人の勇気を決して忘れないようにすること、一人の勇気をみんなのものにする気持ちを持っていることが、また勇気ある新しい一人を生み出す母体になる、そのように世界を変えてゆけたらいいな、と思います。

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