清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2021/11/29
人権ウィークは夏休みの課題で作成してもらった「人権標語」を校内に掲示しています。
掲示するためにパソコンに打ち込んでいると、あることに気が付きました。
それは、言葉に関する標語が多いということです。
「その言葉 あなたの一瞬 相手の一生」「その言葉 ちょっと待って 考えて」
「言葉はね 立派な武器だ 気をつけよう」「ハッとした 口から出して 取り消せない」
これらの標語を見て、人権で問題になる差別などは、言葉によるものが多いことが分かります。
高知県が小中高校生に人権教育として学んでほしいと提示している、10個の人権課題があります。
同和問題・女性・子ども・高齢者・障碍者・HIV感染者・外国人・犯罪被害者等・災害と人権・そして、インターネットによる人権侵害です。
これらの人権課題は、私たちがこのような方たちに対して偏見を持ち、きちんと相手を理解せずに、その時、発した言葉が人権問題になることもあるのです。
近年、SNSや動画利用サイトなどの利用者の急増により、インターネットの匿名性を利用し、電子掲示板やホームページにおける誹謗中傷、個人情報や写真を無断で公開するといったプライバシーの侵害などがあり、社会全体に大きな影響を及ぼしています。
ネットニュースを見ると、必ずコメント欄があります。
そのニュースに対して思ったこと、感じたことを自由に書き込むことができますが、有名人の不祥事などが取り上げられた時には、その人のすべてを否定するようなコメントが多く書き込まれます。
何か事件があれば、その犯人に対する暴力的な言葉や、その犯人を特定するような個人情報まで書き込まれている様子をよく見ます。
これは、有名人や全国的なニュースに限ったことではありません。
コメントを書いた人は、何気ない一言だったのかもしれません。
傷つけようとして書いたわけではないかもしれません。
しかし、受け取った側に深い傷を与えることになってしまいます。
これらのネット上での人権侵害の特徴は、書き込むだけという加害の容易さ、自分の名前を名乗らない匿名性、バズルなどの言葉があるようにあっという間に広まってしまう被害の急速化・拡大化、そして、間違った情報であったとしても一度流れた情報を訂正することが困難であるということです。
ネット上の人権侵害により、一瞬で人生が変わってしまった人はたくさんいます。
最初に紹介した標語を思い出してください。
「ハッとした 口から出して 取り消せない」
これは面と向かってのコミュニケーションだけではありません。
何よりも、顔が見えないからと言って、人を傷つける言葉を発して良い理由にはなりません。
顔が見えなくても、画面の向こうには、自分と同様に人権のある他者がいるということを決して忘れてはいけないのだと思います。
今日の聖書箇所には、「子たちよ、言葉や口先だけでなく行いをもって誠実に愛し合おう」とあります。
互いの人権を尊重し合う関係を築いていくためには、誠実さが必要です。
誠実という言葉を辞書で引くと、真心をもって人や物事に対することとあります。
匿名の投稿に誠実さはあるでしょうか。
顔が見えないからといって、普段直接言えないことSNSで伝えることは誠実でしょうか。
今日の聖書箇所にあるように、言葉や口先だけでなく、私たちは、誠実な心をもって周りの人と関わり、行動していくことが大事なのではないでしょうか。
自分が発信する言葉や行動に責任を持つとともに、誠実な言葉や行いをもって日々の生活を送っていきたいと思います。