礼拝の話

2022/03/14 

3月7日(月)聖書 テサロニケの信徒への手紙Ⅰ 5章14~15節 校長 小西二巳夫

2月22日は猫の泣き声にちなんで猫の日でした。

猫の日に合わせて、テレビなどでも様々な企画がありました。

夏目漱石という作家を有名にした小説に「吾輩は猫である」があります。

書き出しが「吾輩は猫である、名前はまだない。」で始まる小説です。

この作品は夏目漱石が初めて書いた小説です。

「ホトトギス」という雑誌に掲載され、一躍ベストセラーになりました。

当時、夏目漱石は先の見えない毎日を過ごしていました。

大学を卒業後、英語の教師として働いていた彼は、優秀だったので政府からロンドンに留学するように言われます。

政府の支給の奨学金は少なく、繊細な心の持ち主だった夏目漱石にとって悪条件の生活は精神的に相当堪えました。

2年後、日本に戻ってきた時には、心のバランスが崩れ不安定な状態になっていました。

たまたまそのような時に、「ホトトギス」の発行責任者であった高浜虚子から文章を書くように勧められたのです。

そこで思いついたのが、しばらく前から家に居ついた黒猫のことでした。

その黒猫を見ながら、夏目漱石は猫を主人公にした小説を書こうと思いついたのです。

言い方を換えると、夏目漱石は猫に出会ったのです。

「吾輩は猫である」の人気は、登場人物の会話が、読む人が「そうそう、こういうことはよくある」と共感したり、日頃から自分も心の中でもやもやと思っていたりしていることを猫の目線から書いていることにあります。

そこで、もし「吾輩は猫である」の主人公の猫が今のロシア、ウクライナの状況を見たらなんというか考えました。

「人間というのは実に愚かだ。同じ人間を苦しめて何がおもしろい。ばかばかしいにもほどがある。特に権力を持った人間のすることはろくでもない。」などが考えられます。

夏目漱石は「吾輩は猫である」を書くことで、心のバランスが取れるようになりました。

夏目漱石は黒猫によって、自分の持っている才能が引き出され、心が救われ、生活が助けられたのです。

すべては野良猫という弱い存在を受け入れることから始まったのです。

夏目漱石に起こったことは、今日の聖書の言葉通りです。

気落ちしている人を励ますことが、弱っている人を助けること、他の人のためにしているように見えることが、自分の力でどうにもできない状態の自分を、そこから救い出す、助け出すことになるということです。

それを今の私たちに当てはめると、弱い立場に立たされているウクライナの人たちのことを祈ることから1日を始めることによって、自分のことがうまくいくということです。

学年末試験への取り組みもその1つです。

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