清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2024/04/17
昨年3月28日に坂本龍一という音楽家が亡くなりました。
先日、この坂本さんの最後の生きざまを捉えた番組がありました。
ご家族のインタビューと共に、坂本さんが映り、「東北ユースオーケストラ」の演奏会を絶対に聴きたいという強い意志を感じるような様子に、見ているこちらも姿勢を正さずにはいられない雰囲気を感じました。
最後の曲、ご自身が作られた「KIZUNA WORLD」に載せて、女優の吉永小百合さんが1つの詩を朗読されました。
東日本大震災後、その支援に対する感謝を伝えるため、新聞社の公募によって集められた460編の詩の中の1つで、当時小学校5年生だった男の子の作品です。
「ありがとう」という詩でした。
詩の最後に差し掛かり、坂本さんは「これは…やばい…」とつぶやき、顔を覆いました。
この瞬間に、坂本さんはどれほどの思いを受け取ったことでしょう。
わたしたちは、この当時小学5年生だった方の詩から、そして、この坂本龍一という一人の人間の生き方から、何を受け取り、考えるべきでしょうか。
人が生きる、ということは、その存在をかけて生ききることなのだとわたしは思っています。
人に与えられている命の時間は、一人ひとり違います。
キリスト教学校で学ぶわたしたちは、その1日、1日を礼拝で始め、多くの言葉を聞き、多くの思いを受け取り、また自分自身が今日1日をどのように生きようとしているのか、自分の中にどのような迷いがあるのかを感じながらその日を歩みます。
KIZUNA WORLDは東北の震災後に、被災地支援としてたちあげられ、震災後、3年の活動期間を終えたとき、坂本龍一さんは次のようなメッセージを残しました。
「もう3年、まだ3年、人によって違いますが、ぼくはたった3年と感じます。たった3年で忘れることなんてできません。3年どころか、あの日とそれに続く日々のことは、一生忘れないと思います。いろいろな意味で。2014年3月11日 坂本龍一」
3年という期間は、中学、高校をそれぞれ学び終え、卒業を迎える年月です。
決して短いわけがありません。
その、3年の活動の歩みを、坂本さんは、それから先の人生で覚え続けていく、とその日約束し、その命が尽きるその時まで、その言葉通りに生き抜いたのです。
これからの学びの日々を充実させるためには、力を合わせることも必要です。
その反対に、一人孤独に、自分自身の課題に向き合う時間も必要です。
その1つ1つを通して、わたしたちは成長して、次の世界を切り拓いていくことになります。
始業礼拝で校長先生が話されたように、わたしたちはその困難に当たって、それを避けることなく自分に与えられた必要な時間であることを受け止めるときに、その先が拓かれるのだと思います。
清和の名の通り、「心の清い人、平和を実現する人」になるために、1日1日しっかりと学び、この2024年度を充実の時としたいと思います。