礼拝の話

2020/04/17 

4月17日(金)チャペルウィーク 聖書 ヨハネによる福音書 21章4~7節 校長 小西二巳夫

チャペルウィーク最終日です。

キリスト教で一番知られている行事はイエス・キリストの誕生を祝うクリスマスでしょう。

キリスト教にはクリスマスだけでなく、他にも大切な行事があります。

その1つにイースター、十字架で死んだキリストが復活したことを祝う行事があります。

イースターが大切なのは、自分が生きていていいということがわかるからです。

さまざまな理由から下を向いて生きている人が、顔を上げることができるからです。

生きる勇気と元気を取り戻すことができるのがイースターです。

今年のイースターは4月12日の日曜日でした。

同じ頃からYouYubeで話題になり始めたものがあります。

演出家の宮本亜門さんの呼びかけで始まった「上を向いて歩こう」をリレー形式で歌っている動画です。

今自らの命をかけて新型コロナウイルス問題に取り組んでくれている人たち、感染症問題のために明日どころか今日の生活にも困っている人がたくさんいます。

そうした人たちに希望を持ってもらいたいと願って始められたプロジェクトです。

第1弾に選ばれた歌が「上を向いて歩こう」です。

今から50数年前に大ヒットした曲で、アメリカのヒットチャートで1位になりました。

歌詞は「上を向いて歩こう、涙がこぼれないように、泣きながら歩く、ひとりぼっちの夜、上を向いて歩こう にじんだ星を数えながら…」です。

アメリカで大ヒットした理由は心理学者によるとこの曲によって多くの人が励まされるからだそうです。

「がんばれ」と押しつけの励ましではなく、傷ついた心にそっと触れるような優しさがあります。

悲しみやつらさを包み込んでくれるような空気感、小さな希望が与えられた気分になります。

「それでいいんだよ」というゆるされた気持ちにもさせてくれます。

自分でもなんとかしたいと思っている時に言われたくない言葉に、親や周りの人からの「がんばれよ」との強い言葉があります。

がんばれとの言葉で励ましてくれているのはわかりながらも「うるさい」と反発したくなって、そのために気持ちがしぼんでいくということもあります。

そこで、がんばれでなく、いいんだよと一声かけられたらどうでしょうか。

頑なな気持ちがほどけて、内側から力がわいてきて、やり直してみようという気持ちになります。

「上を向いて歩こう」は復活のイエスに再会したペトロの気持ちそのものでした。

ペトロはイエス・キリストの一番弟子と言われる人で、本人もそのことにプライドを持っていました。

十字架の出来事の少し前に、イエスさまはペトロに質問をしました。

「もし、私に何かあったらお前はどうする」。

ペトロは胸を張って答えました。

「私はどこまでもあなたについて生きます。死ねと言うならいつでも死んでみせましょう。」

ところがイエスさまが捕まえられた時、彼は何もできずただ突っ立っていました。

あなたはイエスの弟子でしょう、と指差された時に知らないといいました。

怖かったからです。

十字架にかけられて死んだイエスさまは預言通り3日後に復活されました。

これがイースターです。

復活されたイエスさまがペトロのところに姿を現された目的は何だったのでしょうか。

自分のことを3回も知らないといった弟子に文句を言うためだったのでしょうか。

イエスさまは何事もなかったようにペトロに話しかけられました。

イエスさまの態度にペトロはどんな気持ちだったでしょうか。

「この人は、自分が言ったことを忘れている。助かった」でしょうか。

そうではありません。

本当に怖れなければならないものがわかったのです。

ペトロがそれまで怖がっていたのは世の中の権力、無実の人を十字架にかける権力です。

ところが、復活のイエスさまに出会ってわかったのです。

ペトロは本当に怖れるものを持つことの大切さがわかったのです。

故郷に帰ったペトロはいくつもの理由から下を向いて生活していたことでしょう。

そのペトロが復活のイエスさまに出会い、「ゆるされている」ことを知りました。

それを知って、自分の過ちや弱さを厳しく見つめられるようになったのです。

ゆるされていることを知って、体の中から生きる力が湧き上がってきました。

嬉しさのあまり涙が流れそうになりました。

その涙をこらえるために、彼は自然と上を向かなければならなくなったのです。

顔を上に向けるというのは、希望を持って堂々と生きるということです。

目の前の物事から逃げないということです。

今私たちの周りは新型コロナウイルス感染問題で揺れ動いています。

自分の顔が日々暗くなっていき、顔がいつの間にか下を向いてしまいます。

復活のイエスさまのゆるしは、そういう私たちに向けられているのです。

私たちの弱さを復活のイエスさまが共に背負ってくださっているのです。

そのことに気づくことによって、私たちはつらさを抱えながらも、上を向いていきていくことができるようになれる、希望を失うことなく生きていけるのです。

それぞれの課題に取り組む力が復活のキリストから与えられているのです。

新しい課題が週明けに届きます。

1つ1つの課題に前向きに取り組んでいきましょう。

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