礼拝の話

2022/04/21 

4月18日(月) 聖書 ルカによる福音書 10章25~29節 校長 小西二巳夫

1週間前の日曜日の夜に御座にある蔦屋書店に行きました。

本屋さんのいいところは、買いたい本以外に、こんな本があったのか、こんな作家がいたのかと発見できることです。

一緒に行っていた娘が、絵本「てぶくろ」を持ってきました。

幼稚園の頃、この「てぶくろ」を劇でやったといいます。

絵本「てぶくろ」はエウゲーニー・ラチョフという人が民話をもとに描いた作品です。

民話はある地域の人物や時代と結びついたお話です。

民話にはこのことはわかってほしい、ぜひ伝えたいとの気持ちが込められています。

ラチョフの「てぶくろ」は今ロシアから攻撃を受けているウクライナの民話を下敷きにしています。

「てぶくろ」はウクライナの地域に住む人や歴史に深く関係した話なのです。

ウクライナは土地が豊かでヨーロッパの穀倉地帯と呼ばれ、天然資源も豊富です。

そのために昔から様々な民族に侵略され支配を受けてきました。

そうした歴史から、自分たちの民族が生きるためには、他の民族と対立し戦争するのではなく、仲よく共にいきる方法しかないと考えるようになり、そこから「てぶくろ」の下敷きになる民話が作られていったのです。

今日の聖書はイエスが「永遠の命」を受け継ぐためには何をしたらいいのかと質問されたことから話が始まっています。

永遠の命という言葉には「平和に暮らす」という意味が含まれています。

イエスの答えは「心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。また、隣人を自分のように愛しなさい」でした。

徹底的に相手を受け入れて、共に生きること、それしかないと答えられたのです。

ある人が「その国の、相手の国の文学を読みなさい」といいました。

それによって相手を理解し、対立するのではなく共に生きることができるからです。

戦争やりたくない、続けたくないという気持ちが湧いてくるからです。

それを今ウクライナで考えると、ウクライナに関係する本、ウクライナの人が書いた本を読むことです。

その1つがエウエゲーニ・ラチョフ の「てぶくろ」です。

ウクライナ生まれで、ノーベル文学賞をもらったスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチという人の本に「戦争は女の顔をしていない」というのもあります。

相手の国の文学を読むことが、今日の聖書の「正しい答えだ。それを実行しなさい」のイエスの言葉を実行することになります。

それが敵を憎むのではなく、愛する力が湧いてくるのです。

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